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僕らのご飯は明日で待ってる
2012-04-25 / 瀬尾まいこ / 幻冬舎 / 217
2024-1-20
過去のとらわれから抜け出し、「自分」を探す葉山。自分の思い描く家族を夢見て生きる上村。このコンビが駆け抜けていく高校時代から20代半ばまでの物語。いつも爽やかで、やりとりが絶妙で素敵な作品だ。 「本当に大切なことは何か」そこに気づくことができた2人。純粋に良いお話だと思った。 -
终点的少女 終点のあの子
2012-4-10 / 柚木麻子 / 文藝春秋
2024-8-30
多感な女子高生たちの手探りの友情。 女子同士っていつまでも友情の方程式が解けないのかもしれない。 共学校だった私には女子校はめんどくさそうに思える。 でもここにいる女の子のひとりひとりがとても可愛く思えた。 若さってかけがえのないもの。 失敗も後悔も宝物にできる。 -
唇上之歌 くちびるに歌を
2011-11-24 / 中田永一(乙一) / 小学館 / 285
2024-8-12
合唱コンクールも、卒業式でも、合唱って凄く込み上げるものがある。 子供達の歌声ってなんでこんなに涙がでちゃうんだろう?? この本を読んでいて、涙が出てきてしまった。 卒業式を思い出してしまったのかも。 -
无止境的杀人 長い長い殺人
2011-07-12 / 宮部みゆき / 光文社 / 413
2024-8-31
刑事、目撃者、容疑者の友人など関係者の「財布」視点で事件が語られるという斬新な切り口! 持ち歩く財布だからこそ聞ける会話や、逆に財布だから映像がなかったり、設定を生かした構成がとても面白かった。 さすがの宮部みゆき作品、おもしろい。なんと語り手が10個の財布。これが人間観察にはもってこい。「懐が寂しい」という表現もあるように、どんな財布も心臓の近くに寄り添うイメージがあるし、持ち主と運命を共にするもの。 この作品はプレ『模倣犯』ということで、日本ではあまりお目にかからないようなタイプの殺人事件を扱っている。 -
pupa
32话 / 茂木清香 / 泰文堂
2024-2-19
好き嫌いはわかれるが妙な中毒性がある いちばん好きなキャラは鬼島四郎。主人公の現をバイオレンスに虐待するクソ親父なのだが、外道すぎてたまらない。 彼を叩いてる人をたまに見かけるが、この作品を描く上で欠くことできない人物であり、作者がそういう役割を持たせたキャラとして描いてるので自分は不快感がない。四郎の現に対する歪んだ愛情表現、虐待連鎖の因果に焦点に当てるとやりきれない。 もっとも、説明不足の感は否めない。 現の記憶では子供を捨て男と駆け落ちした母が精神病院に入院してたり、序盤に出てきた現や夢のクラスメイトは特に本筋に絡まずフェードアウトしたり、作者の嗜好(=描きたいもの)が先行して所々構成が破綻してる 絵柄もデフォルメタッチで可愛いのだが、線が歪んで雑に見える。 ラストの畳み方はぶっ飛びすぎて賛否両論だが、読んで損したとは思わなかった。 -
使者 ツナグ
2010-10-01 / 辻村深月 / 新潮社、皇冠 / 316
2024-1-20
死者と会うなんて現実には信じがたいことですが、 物語としてキッチリ現実味を帯びたものに昇華されていると感じました。 死者に会うことが必ずしも今を生きている自分に良い結果をもたらす訳ではないし、 後悔だってするかもしれない。 けれど死者の失われた生を、残されたものには背負う義務がある。 死者に会って自分の人生を前に進めようと思うのは、生者のエゴかもしれないという一文は 強く印象に残っています。 本作品も感情移入しながら、喜ばしくもあり、怒りを覚えたり、哀しくなったり、楽しさを感じたり、感情を揺さぶってくれる作品だった。 さて、私が会いたい人は置いておいて、故人となった私に、一生に一度のその機会を繋いで会いたいと思ってくれる人なんて果たしているのだろうか。 …と、少々センチメンタルになってしまった。