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多余的孩子 はみだしっ子
三原順 / 白泉社
2024-1-18
親に棄てられた4人の子供の逃避行。セリフ回しは独特だけど引き込まれるものがある。アンジーは今でも人気出そうなキャラだと感じた。 子供の頃、ちょっと毒親大集合すぎないかという、ある種の公平さを求めたくなる気恥ずかしさがないわけではなかったのだが、今読むと「これは結構ありうるな…」と思ってしまったので時代背景によって評価は変わるかも。 子供は無責任に「4人でずっと旅をして欲しかった」と思っていたが、今読むと「レッツ・ダンス・オン」で感じる苛立ち焦燥切なさは子供の肉体では受け付けない刺激と生活や情緒面からくる疲労で、やはり家出少年のその日暮らしというものは身体に堪えて精神を蝕んでいたのかもしれない。 -
ふつうの軽音部 (1)
2024-04-04 / 出内テツオ / 集英社 / 208
2024-6-27
高校生の繊細な機微を描くのとすげーかるいかんじでウケるみたいなノリでいくのと、バランスがめっちゃいい -
我的家 ぼくんち
西原理恵子 / 小学館
2024-2-24
この物語はハッピーエンドではない。みんな仲良く大団円、という終わり方を期待する読者は裏切られるだろうが、私はフィクションに誠実であろうとした作者の姿勢に敬意を表したい。 だって、フィクションならいくらでもきれいごとが描ける。取って付けたようなハッピーエンドにしようと思えばできるのだ。 西原理恵子はあえてそれをしない。 救われない現実を救われないまま生きる人々をそのまま描いて、彼らへの愛しさで胸をいっぱいにしてくれた。 人生残る一冊になった。 -
孤独摇滚! ぼっち・ざ・ろっく!
2019-02-27 / はまじあき / 芳文社
2024-1-23
ギャグだが、コミュ障とクソサブカルとクズバンドマンの解像度が高い。という元コミュ障クソサブカルクズバンドマンによる感想です。 陽キャっぽいバンドと聞くと勝手にWA○IMAみたいなのを想像してしまいます。 -
萤火虫之墓 アメリカひじき・火垂るの墓
2009-02出版 / 南海出版公司 / 246页
2024-6-25
読点が長々と続く文体は読みづらいが、これ以上に焼跡闇市にふさわしいものはないのかもしれない。息せきって話すときのような混乱した感じ。読み直さなければすっと入ってこないような文章だが、リズムに乗ってくるとあれよあれよと読むのが止まらない。あの戦時下が鮮度を保ちそこにある。戦争孤児がどれだけお腹を空かせていたか、戦争がなにを変えたのか、それは知りようもないが、こうして読むことができることがありがたい。答えを簡単には出さず、むき出しの体験があるだけ、だった。 -
オーブランの少女
2013-10-22 / 深緑 野分 / 東京創元社 / 260
2024-5-10
少女に纏わるお話しが5編 「オーブランの少女」オーブランほど美しい庭は見たことがない。/花の名前の病弱な少女たちが集められたサナトリウムはなぜ存在しているのか。 「仮面」小心者でめんどうなことを好まないアトキンソン医師が特に憎んでいるわけでもないベツィ・バルベル夫人を殺すに至ったのは。 「大雨とトマト」暴風雨なのに開店してしまい店主が後悔している食堂に来たたった二人の客は常連のしょぼくれた男と、メニューにないトマトのサラダを注文した少女だけで、少女は父親を探しているという 「片想い」寄宿舎で同室の美少女、環の行動に不自然さを感じる、岩様と呼ばれるちょっとゴツい少女 「氷の皇国」極寒の地にあるラズラトリア湖で首のない人間の死体が網にかかった。吟遊詩人は心当たりがあると言ってすでに滅びた国ユヌースクで起ったできごとを語り始める。