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pupa
32话 / 茂木清香 / 泰文堂
2024-2-19
好き嫌いはわかれるが妙な中毒性がある いちばん好きなキャラは鬼島四郎。主人公の現をバイオレンスに虐待するクソ親父なのだが、外道すぎてたまらない。 彼を叩いてる人をたまに見かけるが、この作品を描く上で欠くことできない人物であり、作者がそういう役割を持たせたキャラとして描いてるので自分は不快感がない。四郎の現に対する歪んだ愛情表現、虐待連鎖の因果に焦点に当てるとやりきれない。 もっとも、説明不足の感は否めない。 現の記憶では子供を捨て男と駆け落ちした母が精神病院に入院してたり、序盤に出てきた現や夢のクラスメイトは特に本筋に絡まずフェードアウトしたり、作者の嗜好(=描きたいもの)が先行して所々構成が破綻してる 絵柄もデフォルメタッチで可愛いのだが、線が歪んで雑に見える。 ラストの畳み方はぶっ飛びすぎて賛否両論だが、読んで損したとは思わなかった。 -
小百合 完全版 サユリ 完全版
2015-12-24 / 押切蓮介 / 幻冬舎
2024-1-29
ばあちゃんが最恐にして最凶の妖怪だった。老人力大爆発。 壁の中から聞こえてくる弟の悲鳴とかトラウマシーン盛り沢山なのに、ばあちゃんが本気出してから悪霊がびびって霞む勢いで無双が続く。 そりゃ生きることに背を向けたひきこもりの小娘より、激動の数十年を死に物狂いで生き抜いたばあちゃんのほうが怖いし強いわ。 -
使者 ツナグ
2010-10-01 / 辻村深月 / 新潮社、皇冠 / 316
2024-1-20
死者と会うなんて現実には信じがたいことですが、 物語としてキッチリ現実味を帯びたものに昇華されていると感じました。 死者に会うことが必ずしも今を生きている自分に良い結果をもたらす訳ではないし、 後悔だってするかもしれない。 けれど死者の失われた生を、残されたものには背負う義務がある。 死者に会って自分の人生を前に進めようと思うのは、生者のエゴかもしれないという一文は 強く印象に残っています。 本作品も感情移入しながら、喜ばしくもあり、怒りを覚えたり、哀しくなったり、楽しさを感じたり、感情を揺さぶってくれる作品だった。 さて、私が会いたい人は置いておいて、故人となった私に、一生に一度のその機会を繋いで会いたいと思ってくれる人なんて果たしているのだろうか。 …と、少々センチメンタルになってしまった。 -
僕らのご飯は明日で待ってる
2012-04-25 / 瀬尾まいこ / 幻冬舎 / 217
2024-1-20
過去のとらわれから抜け出し、「自分」を探す葉山。自分の思い描く家族を夢見て生きる上村。このコンビが駆け抜けていく高校時代から20代半ばまでの物語。いつも爽やかで、やりとりが絶妙で素敵な作品だ。 「本当に大切なことは何か」そこに気づくことができた2人。純粋に良いお話だと思った。 -
多余的孩子 はみだしっ子
三原順 / 白泉社
2024-1-18
親に棄てられた4人の子供の逃避行。セリフ回しは独特だけど引き込まれるものがある。アンジーは今でも人気出そうなキャラだと感じた。 子供の頃、ちょっと毒親大集合すぎないかという、ある種の公平さを求めたくなる気恥ずかしさがないわけではなかったのだが、今読むと「これは結構ありうるな…」と思ってしまったので時代背景によって評価は変わるかも。 子供は無責任に「4人でずっと旅をして欲しかった」と思っていたが、今読むと「レッツ・ダンス・オン」で感じる苛立ち焦燥切なさは子供の肉体では受け付けない刺激と生活や情緒面からくる疲労で、やはり家出少年のその日暮らしというものは身体に堪えて精神を蝕んでいたのかもしれない。