本書では手塚治虫の名作コミック『ブラック・ジャック』を「症例カルテ」「架空症例対談」「オマージュ」の3章から分析しているが、その分析はすべて現役の医師によって行われている。いわゆる「データ本」が多く出版されているなか、この本では、多くのプロフェッショナルの視線から、ブラック・ジャックの仕事を実務ベースで評価している点で異彩を放っている。
なかでも圧巻は、本書の大半を占める「症例カルテ」である。『Black Jack』中で行われた36の手術を、「心臓外科」「内科」など、科ごとに分類し、それぞれの症例を「評価」「評価理由」「私ならこうする」といった項目により、現代医学の観点から真剣に検討している。いきなりの開腹やメンタルケアなどが批判されたりと各医師の批評は本職ゆえに辛辣だが、一方でユニークな術式に対する賛辞があったりもして、彼らが子どものころ愛読した作品への敬愛を感じ取ることができる。
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なかでも圧巻は、本書の大半を占める「症例カルテ」である。『Black Jack』中で行われた36の手術を、「心臓外科」「内科」など、科ごとに分類し、それぞれの症例を「評価」「評価理由」「私ならこうする」といった項目により、現代医学の観点から真剣に検討している。いきなりの開腹やメンタルケアなどが批判されたりと各医師の批評は本職ゆえに辛辣だが、一方でユニークな術式に対する賛辞があったりもして、彼らが子どものころ愛読した作品への敬愛を感じ取ることができる。