眼を開くと視界は少女の顔に占領されていた。「未由?」名前を呼ぼうとして声が出せないことに気づく。僕の口は彼女の唇に塞がれていた。「よかった。起きてくれた」未由のその瞳から涙がこぼれた。その背後に見えた景色は、動かない雲、白い砂浜。「啓介くんがすごく苦しそうで...腕もそんな状態で、見てられなくて...」震える声で未由が言う。そして僕は“現実”を把握する。そうか―もう、無いんだ。僕の“魔狼”は...。途方にくれながら未由とふたりきり、その奇妙な世界―アリッサの故郷である“方舟”の内部をさまよい歩く。
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- 系列 RIGHT×LIGHT