筑波大学に三年次編入した桐葉悠太。
これから始まるキャンパスライフに希望を膨らませるも、それといった夢や目標があるわけでもなく。
放っておいたらいつまでもぼっち、何をするでもなく大学での二年間を終えてしまうような……
しかし彼が足を踏み入れたのは筑波大学。
個性的な住人達は悠太が凡庸にして無為な大学生活を送ることを許しはしなかったのである。
入学式で出会ったひょうきんな男「風馬」は、悠太と同じ情報科学類の三編生だった。
親交を結び行動を共にするようになった二人は、筑波大の院生である悠太の姉理奈の勧めに従ってサークルを探すことにする。
サークルメンバー募集のポスターが貼られた掲示板の前で、悠太の目に留まったのは
とある軽音サークルの、バンドメンバー募集ポスターだった。
『バンドメンバーぼしゅう中! しょ心しゃかんげい』
不自然に平仮名が多い。怪訝に思いポスターを見つめていると、ひとりの"少女"が人ごみから飛び出して来て悠太にぶつかる。
整った顔立ちに銀髪、紫の瞳、まるで空想の世界から飛び出してきたような奇妙な"少女"は、悠太に抱きついて再会を喜ぶようなそぶりを見せる。
心当たりのない悠太は戸惑い、誤解を招かないように少女を引き離そうとするが、時すでに遅く……
突如飛来した何者かの跳び蹴りによって、悠太は派手に吹き飛ばされるのだった。
嵐のように荒れ狂うギターの音に目を覚ました悠太は、見知らぬ部屋で後ろ手に縛られていた。混乱する彼の目の前に踏み降ろされるブーツの足。
ギターの演奏者、古湊愛歌(コミナト アイカ)は、すらりとした金髪の女性。痛い目に遭いたくなければ『契約書』にサインするように悠太を脅す。
しかしそこに現れた先程の"少女"雪丸四駆(ユキマル ヨンク)が、アイカの脅しがはったりであることを暴露してしまう。
互いに自己紹介を交わしていると部屋をノックするものがある。
現れた『入部希望者』は、凛とした雰囲気を持った気の強そうな新入生。体育専門学群の天辻陽(アマツジ ハル)と名乗る彼女は、なんと風馬の幼なじみであった。
演奏を聴いていなかった陽と悠太の為に、アイカはギターを再演する。
その演奏に心打たれた悠太は、サークルに入って練習を積めば自分にもアイカのような演奏ができるようになるのかとアイカに問う。
しかしアイカの答えはNOだった。
彼女は
「あたしにはあたしの音、君には君の音、だ。悠太にしか出せないその音を、鳥肌立つレベルまでに仕上げてやるぜ。あたしの誇りにかけて」
と語る。それを聞いた悠太は、遂に入部を決意するのだった。
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これから始まるキャンパスライフに希望を膨らませるも、それといった夢や目標があるわけでもなく。
放っておいたらいつまでもぼっち、何をするでもなく大学での二年間を終えてしまうような……
しかし彼が足を踏み入れたのは筑波大学。
個性的な住人達は悠太が凡庸にして無為な大学生活を送ることを許しはしなかったのである。
入学式で出会ったひょうきんな男「風馬」は、悠太と同じ情報科学類の三編生だった。
親交を結び行動を共にするようになった二人は、筑波大の院生である悠太の姉理奈の勧めに従ってサークルを探すことにする。
サークルメンバー募集のポスターが貼られた掲示板の前で、悠太の目に留まったのは
とある軽音サークルの、バンドメンバー募集ポスターだった。
『バンドメンバーぼしゅう中! しょ心しゃかんげい』
不自然に平仮名が多い。怪訝に思いポスターを見つめていると、ひとりの"少女"が人ごみから飛び出して来て悠太にぶつかる。
整った顔立ちに銀髪、紫の瞳、まるで空想の世界から飛び出してきたような奇妙な"少女"は、悠太に抱きついて再会を喜ぶようなそぶりを見せる。
心当たりのない悠太は戸惑い、誤解を招かないように少女を引き離そうとするが、時すでに遅く……
突如飛来した何者かの跳び蹴りによって、悠太は派手に吹き飛ばされるのだった。
嵐のように荒れ狂うギターの音に目を覚ました悠太は、見知らぬ部屋で後ろ手に縛られていた。混乱する彼の目の前に踏み降ろされるブーツの足。
ギターの演奏者、古湊愛歌(コミナト アイカ)は、すらりとした金髪の女性。痛い目に遭いたくなければ『契約書』にサインするように悠太を脅す。
しかしそこに現れた先程の"少女"雪丸四駆(ユキマル ヨンク)が、アイカの脅しがはったりであることを暴露してしまう。
互いに自己紹介を交わしていると部屋をノックするものがある。
現れた『入部希望者』は、凛とした雰囲気を持った気の強そうな新入生。体育専門学群の天辻陽(アマツジ ハル)と名乗る彼女は、なんと風馬の幼なじみであった。
演奏を聴いていなかった陽と悠太の為に、アイカはギターを再演する。
その演奏に心打たれた悠太は、サークルに入って練習を積めば自分にもアイカのような演奏ができるようになるのかとアイカに問う。
しかしアイカの答えはNOだった。
彼女は
「あたしにはあたしの音、君には君の音、だ。悠太にしか出せないその音を、鳥肌立つレベルまでに仕上げてやるぜ。あたしの誇りにかけて」
と語る。それを聞いた悠太は、遂に入部を決意するのだった。