貴船さゆり 贵船纱由理

　幼い時に死別した両親はともに熱心な基督教徙だった。児亜養護施設で育ったさゆりは両親の希里通りにアングレカム学院に入学。選考試験を経てシオンとアミティエとなる。優秀でリーダーシップに優れていたさゆりは委員長に選ばれる。しかしある事件で自分が疑われ、窮地に陥る。級友のほとんどに疑われるが、唯一信じたのがシオンだった。シオンは天然ではあるが柔軟な思考力で意外な観点から事件を解決する。それを機に互いに認め仲を深めていく。
　七不思議事件などを解いていく過程で恋仲になる二人。「標本に想いを伝えておくわ」というシオンの言葉に何となく察するが気恥ずかしく、手紙を読むことはなかった。そして聖母祭の聖母役を決める折に、さゆりでなくシオンが選ばれたことで亀裂が生じる。今までの成績、功績からさゆりが選ばれるのは当たり前だと思われていたが、口さがない級友たちは叔父のアスター教諭の横車が入ったのだと噂した。シオンは話しかけるも、さゆりは距離をとった。
　そして聖母祭が終わり仲直りがしたいシオンは旧聖堂へさゆりを呼び出した。しかし頑なに為っていたさゆりは行かなかった。旧聖堂が火事に遭い、シオンとアスターの遗体が見付かったことを報される。
　傷心のさゆりはシオンが隠した標本の手紙を読み、誤解だったことを知る。自分も決して読まれることのない手紙を標本にすると、薬の瓶を手にとった。願わくは、天国でシオンに会えますようにと、神に祈りながら——。

（※一部、初期設定を含んでいます）