遺産相続弁護士 柿崎真一

ep.5 幽霊屋敷めぐる愛憎劇

时长: / 首播:2016-08-04
  ある深夜の別荘。寝室のベッドで眠る柿崎真一(三上博史)が、不穏な物音に目を覚ます。「……」ベッドを降りて戸口に向かい、ふと窓の方を見ると思わず凍り付く。「ぎゃあああああああ!」と柿崎。そこは幽霊屋敷と言われる別荘だった。

  事の起こりは一週間前。柿崎は麻生珠美(藤本泉)という女性から依頼を受けた。彼女へ遺産を残したのは、資産家の霧島宗一郎。ある日突然、珠美は、母の順子(水原ゆき)が実は霧島の愛人で、霧島の認知を受けた子供だと言われたのだった。

  柿崎は丸井華(森川葵)を連れ、珠美とともに霧島家を訪れた。そこには霧島の娘の貞世(町田マリー)と清美(玄理)がいた。霧島家の弁護士が、遺言書を読み上げる。「銀行預金・株式等を含む遺産6000万円は長女貞世、次女清美が等分に相続する。……別荘の土地および建物は麻生珠美が相続するものとする」と弁護士。「あのバカ親父!なんで愛人の子に遺産を分けるのよ!」と貞世。清美は荒れる姉を手で制したが、終始無言。ムッとした珠美は「遺産は相続させてもらいます!」と言い放った。霧島の遺産総額は3億円。珠美は赤ん坊のときに母に捨てられており、遺産どころか、父のことも母のことも全く知らずに生きてきた。「今まで生きてきて、何にもいいことなんてなかった。だから知らない土地でやり直すのもいいかなって」と、珠美はその別荘に引っ越したが、間もなく、柿崎のもとに駆け込んできた。

  「はあ?幽霊が出る?」と柿崎。「嘘じゃありません!毎晩出るんです。あんな家、いりません。その代わり、遺産の3分の1、1億円を受け取りたいんです!」と珠美。柿崎と華は真偽を探るため、霧島の別荘へ向かい、幽霊が出たという寝室に柿崎が泊まることに。カメラを取り付け、華と珠美がその様子を別室で確認することになった。そして深夜。寝室のベッドで眠っていた柿崎は、物音に目を覚ますと、窓の方を見て驚き、「ぎゃあああああああ!」と叫んだ。その瞬間、柿崎は何かに突き飛ばされ、暗い廊下の奥へザザーッと引きずられていった。

  その映像を見せられる貞世と清美。「なによ、これ」と貞世は、柿崎が引きずられる瞬間の映像を止める。「ここにワイヤーが見えてるじゃない」と貞世。「え?ウソ」と華。柿崎をワイヤーで廊下に引きずり出したのは華だった。「ええ。でもそこじゃなくて、見てほしいのはここです」と柿崎。少し巻き戻して、窓を見せる。そこには人の手のようなものが見えた。「!?」と一同。「これは2階です。人が立てる場所じゃない」と柿崎。「え?本物!?」と華も驚く。「残念ながら、心霊現象は本当みたいです」と柿崎。

  柿崎は、「珠美の取り分は幽霊物件でなく、遺産の再分配を請求する」と言う。「勝手なこと言わないで!どうせインチキよ!」と貞世。だが、清美は黙ったまま。不思議に思う柿崎に「清美は子供の時に突然しゃべれなくなったのよ」と言う貞世。その貞世らに、柿崎は、今度は二人の目前で幽霊がいることを証明して見せると言うのだった。

  柿崎は、別荘近くの小さな湖で、駐在所の警官・殿村から、25年前、ここで入水自殺があった可能性があると聞く。だが、遺体は上がらなかったので真偽は不明。同時に、自殺した人の子どもではないかと思われる赤ん坊が、乳母車と一緒に駐在所に届いたのだった。「湖の方から、乳母車が押す者もいないのに勝手に動いて来て、駐在所の前でピタリと止まったんだ」と殿村。

  柿崎は、別荘に貞世と清美を呼んだ。物理学者の大竹と、心霊現象を科学的に解明しようとする。「幽霊がいないことを証明するんですか?」と珠美。「これの方が、心霊現象が本当だった場合に効果的なので」と柿崎。実験が始まり、人が幽霊を見やすくなるという低周波の音波が流れた。するとモニターに映された数か所からラップ音が響く。特に寝室がひどい。対象を寝室に絞り、スピーカーのボリュームを上げる。すると、声のようなものが聞こえた。音声を解析すると「たまみ、みたな、きよみ」という声。清美が悲鳴をあげた。「やめて!」と清美。「……しゃべりましたね、清美さん」と柿崎。一方の珠美は、緊張のあまり、気を失ってしまった。

  目覚めた珠美に柿崎が言う。「すべてが分かりました。25年前、あなたはここにいました。お母さんと」と柿崎。「母と?」と珠美。「清美さんが見ていたんです」と柿崎。

  25年前、別荘で過ごす霧島のもとに、赤ん坊の珠美を乳母車に乗せた順子が訪ねてきた。珠美を認知してもらうためだった。だが霧島は、冷たく順子を追い返す。悲観した順子は近くの湖でたたずんでいた。しばらくして幼い清美が湖に来ると、乳母車で泣いている珠美だけがいて、湖に何かが沈んでいくのが見えた。「?」と、清美は乳母車を駐在所まで押していく。清美が小さいので、乳母車は勝手に動いているかのように見えた。家に戻った清美が「赤ちゃんが置いてあって、湖に何か沈んでた」と霧島に言うと、霧島は清美に「誰にも言うな。分かったな」と言った。以来、清美は人前でしゃべらなくなったのだった。「彼があなたを認知したのは、そんな罪の意識があったからだと思います」と柿崎。

  珠美を湖に連れていく柿崎。「今日はお盆です。会いたい人に会いたいと願えば、会えるそうです」と柿崎。珠美はじっと母を思った。自然と涙がこぼれた。「25年前、駐在所に届けられたあなたは、びしょ濡れだったそうです。おそらく彼女は、あなたと一緒に死のうとした。でもできなかった。あなたを愛していたから。あの幽霊はきっとお母さんです。お母さんはあなたと一緒に暮らしたかった。決してあなたを捨てたわけじゃない。それが、お母さんからあなたへのラストリクエストです」と柿崎。

  翌日、珠美のもとへ、河原井正(豊原功補)の紹介だという不動産屋が「心霊ペンションにすれば、結構ええ商売になるんです。ぜひ買わせてください」と現れる。だが珠美は売らなかった。母と一緒に暮らすつもりの珠美。

  事務所に戻った華は、柿崎から実験時の音声が美樹のものだと聞かされる。「え?あの声って録音だったんですか?じゃ、ビデオの手は?」と華。「ああいうのは見方で何とでもいえるから。……ところで河原井さんは、今回、なぜ別荘に来なかったんです?まさか幽霊が怖いとか」と柿崎。「……」と河原井。「確かにそういうタイプかも」と美樹。「こ、怖いわけねえだろ!」と言う河原井で……。

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