「俺は、ネムの為に強くなった。俺に、光は──必要無い」
季節は、夏。
盲目の青年・灰羽と、その背中で眠る "停電した蛍" ネムが訪れたのは、
かつては多くの蛍が暮らしていた、醜く美しい小さな山村、花鶏だった。
花鶏に棲む義眼医・漆黒。漆黒の蛍・柩、橘。
二人と三匹、血の繋がりを持たない歪でおかしな "家族" が「灯屋」に集められ、
それなりに騒がしく、それなりに賑やかな、それなりの毎日を過ごしていたある日のこと。
──灯屋が、花鶏から、消えた。
本来、灯屋が在るべき場所に鎮座するのは、
全てを飲み込む程に、深くて、大きな、"穴" 。
その日、偶然にも灯屋を離れていた灰羽、漆黒、柩、橘は、
ネム、蛍の珠、ご飯を作る台所やご飯を食べる食卓等、
灯屋に残された様々なものを取り戻す為、立ち上がる。
一方、穴の底に堕ちた灯屋で一人、目を覚ましたネムが見たものは、
「穢土」と呼ばれる地下世界だった──。
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季節は、夏。
盲目の青年・灰羽と、その背中で眠る "停電した蛍" ネムが訪れたのは、
かつては多くの蛍が暮らしていた、醜く美しい小さな山村、花鶏だった。
花鶏に棲む義眼医・漆黒。漆黒の蛍・柩、橘。
二人と三匹、血の繋がりを持たない歪でおかしな "家族" が「灯屋」に集められ、
それなりに騒がしく、それなりに賑やかな、それなりの毎日を過ごしていたある日のこと。
──灯屋が、花鶏から、消えた。
本来、灯屋が在るべき場所に鎮座するのは、
全てを飲み込む程に、深くて、大きな、"穴" 。
その日、偶然にも灯屋を離れていた灰羽、漆黒、柩、橘は、
ネム、蛍の珠、ご飯を作る台所やご飯を食べる食卓等、
灯屋に残された様々なものを取り戻す為、立ち上がる。
一方、穴の底に堕ちた灯屋で一人、目を覚ましたネムが見たものは、
「穢土」と呼ばれる地下世界だった──。