ストーリー
キーボード音がカチャカチャと途切れることなく鳴り響く一室。この部屋にあるパソコンモニターには縦字の文章がびっしりと書き連なっており、それでも足りないかのように文字が書き足されていく。
文章を作っているのは、パソコンモニターを真剣に見つめている一人の少年だ。
その少年の名は奈都、彼は作家業を夢見る小説家の卵だった。いつか自分の作り出す話をみんなに見てもらおうと、必死に作業に励んでいる。
しばらくして、部屋に反響していたキーボードの音が消え、静かになった。
奈都は 「う~ん、う~~~~ん」と、苦しげに呻って悩み始める。そして、「お腹空いた……」そう彼は零し、身体の力を完全に抜いた。
内容に行き詰まったのか、この先の展開をどう書き上げるのか悩んでいるのか……。どちらにしろ、集中力が切れてしまったのは確かだった。
しばらくして奈都は立ち上がり、小さめの段ボール箱に手を突っ込む。その箱にはいくつものカップ麺……それは彼が夕方になると買い溜めしているものだった。
「どれにしようかな……いや、まずは先にお湯を沸かそう」
そんな時、 “ピンポーン”とインターホンが部屋に鳴り渡る。彼は誰だろうと思いつつ玄関の扉を開けた。しかし外には誰もおらず、ただビニール袋に調味料の瓶がいくつも詰められていた。
奈都は周りを見てみるものの……やはり誰もいない。
とりあえずビニール袋を部屋に持ち込んで中身を見てみると、胡椒のような調味料の瓶は見たことのないパッケージで、奈都は首をかしげながら原材料などに目を通す。
“こちらを使用するとカップ麺がさらに美味しくなります” そして使用方法には、 “お湯を入れる前にこちらの調味料を少々振りかけるだけ”と書かれている。
「なんだ……これ?」
疑問に思う奈都だったが、試しに使ってみることにした。
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キーボード音がカチャカチャと途切れることなく鳴り響く一室。この部屋にあるパソコンモニターには縦字の文章がびっしりと書き連なっており、それでも足りないかのように文字が書き足されていく。
文章を作っているのは、パソコンモニターを真剣に見つめている一人の少年だ。
その少年の名は奈都、彼は作家業を夢見る小説家の卵だった。いつか自分の作り出す話をみんなに見てもらおうと、必死に作業に励んでいる。
しばらくして、部屋に反響していたキーボードの音が消え、静かになった。
奈都は 「う~ん、う~~~~ん」と、苦しげに呻って悩み始める。そして、「お腹空いた……」そう彼は零し、身体の力を完全に抜いた。
内容に行き詰まったのか、この先の展開をどう書き上げるのか悩んでいるのか……。どちらにしろ、集中力が切れてしまったのは確かだった。
しばらくして奈都は立ち上がり、小さめの段ボール箱に手を突っ込む。その箱にはいくつものカップ麺……それは彼が夕方になると買い溜めしているものだった。
「どれにしようかな……いや、まずは先にお湯を沸かそう」
そんな時、 “ピンポーン”とインターホンが部屋に鳴り渡る。彼は誰だろうと思いつつ玄関の扉を開けた。しかし外には誰もおらず、ただビニール袋に調味料の瓶がいくつも詰められていた。
奈都は周りを見てみるものの……やはり誰もいない。
とりあえずビニール袋を部屋に持ち込んで中身を見てみると、胡椒のような調味料の瓶は見たことのないパッケージで、奈都は首をかしげながら原材料などに目を通す。
“こちらを使用するとカップ麺がさらに美味しくなります” そして使用方法には、 “お湯を入れる前にこちらの調味料を少々振りかけるだけ”と書かれている。
「なんだ……これ?」
疑問に思う奈都だったが、試しに使ってみることにした。
幻觉流