「源為朝」について 北村寿夫
現在の教育方針として、いわゆる歴史教育のありかたは、たぶんに文化史的な観点からとりあげ、史上の人間や、個人について語られることが、わりに少ないようです。これを補うためには、児童によい野史や、付説集が、一面、どしどし出なければならないのではないかと思います。
今日の子供は、歴史を知らなすぎるという 声もよく聞きますが、これには無理からぬ点 もあると考えさせられます。その是非は別と しても、史的事実や、時代の特徴といったこ とが、もっと子供に知ってもらわなければ、 じぶんの国の歴史についての理解が少なくなるのではないでしょうか。
それはそれとして、こんど源為朝の絵本が発形されることは、たいへん良いことで、源氏と平家の時代を背景として活躍する為朝の物語は、史的事実とともに、子供に喜ばれる絵札であると思います。この為朝というパは、豪勇て涙もろく、親孝行で、それに、いかなる権威にも屈しない人です。こうした点も、子供たちの訓育上、よい教材となるものと思います。
なお、この物語は、滝沢馬琴の「椿說弓張月」によく書かれていることを申し添えておきます。
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現在の教育方針として、いわゆる歴史教育のありかたは、たぶんに文化史的な観点からとりあげ、史上の人間や、個人について語られることが、わりに少ないようです。これを補うためには、児童によい野史や、付説集が、一面、どしどし出なければならないのではないかと思います。
今日の子供は、歴史を知らなすぎるという 声もよく聞きますが、これには無理からぬ点 もあると考えさせられます。その是非は別と しても、史的事実や、時代の特徴といったこ とが、もっと子供に知ってもらわなければ、 じぶんの国の歴史についての理解が少なくなるのではないでしょうか。
それはそれとして、こんど源為朝の絵本が発形されることは、たいへん良いことで、源氏と平家の時代を背景として活躍する為朝の物語は、史的事実とともに、子供に喜ばれる絵札であると思います。この為朝というパは、豪勇て涙もろく、親孝行で、それに、いかなる権威にも屈しない人です。こうした点も、子供たちの訓育上、よい教材となるものと思います。
なお、この物語は、滝沢馬琴の「椿說弓張月」によく書かれていることを申し添えておきます。