アルラウネの芳香催眠

研究チームの中には、そういった珍しい草や花から新薬を作り出す部がある。
私もその一人だった。

この場所に来たきっかけはインターネットサイトの画像だった。
「アマゾンの奥地で新種の花を発見か!?」
原住民の話によると不老長寿の花と呼ばれ、煎じて飲めばどんな病気でも完治するという。
さすがに、どんな病気でも治る・・というのは、にわかに信じがたい情報だが、
何らかの薬効があるのは間違いないのだろう。

他の大手製薬会社に遅れを取るわけにも行かず、
フィールドワークの名目で現地に飛んだ。

森に入ったのは3日前のことだ。
・・現地のガイドを付けて入ったのだが・・
2日前から、かなり深い霧に遭ってしまい、気づいた時には研究チームとはぐれてしまっていた。

ふと、気づく。
何かの匂いがする。
今まで嗅いだことのない、
とても甘く、そして蠱惑的な香り。

漂う香りが強くなるたびに・・
深い森の奥へと進むたびに・・
頭の奥のほうが痺れるような感覚がしてくる。

気づけばそこは・・森の中でも開けた場所
一筋の月明かりが差し込む幻想的な風景
その中央にそれはあった。
・・いや、それは・・居た。

真っ白でこの世のものとは思えない美しい女性。

肩から胸元まで垂れた長い髪
それが白い服を背景に左右に揺れ動き、
まるで、こっちにおいで・・と囁かれているようだ。
香りは女性に近づくたび深くなる。

そして・・