リバース・ドール

人間と悪魔が隔たり合い生活する世界――。

禁忌とされる金眼に生まれついたアルトは、《忌み子》として隔離され育てられた。
魔王である父を始め周囲には凶兆の証だと煙たがられ、幽閉生活を余儀なくされたアルトにとって、母と世話係の青年-セルディス-が訪れる
小さな部屋が唯一で全てだった。

しかし、不自由ながらも平穏な日々は突然終わりを告げた。

弟のフェイトに王位継承権が付与されると、それを契機にアルト処分の命が魔王直々に下されたのである。
母とセルディスの助けにより城から逃げ延びたアルトは一人、人間と悪魔の領域の境界である《森》を抜けてしまう。
そうして、人間の娘であるルチアと出会い、世界を知っていく事になる。

ルチアの弟であるレイオットは生まれつき身体が弱く、一日の大半をベッドで過ごしていた。
アルトを気に行ったレイオットと、二人を構いたがるルチア。
三人は必然的に一緒にいる時間が多くなっていく。
手を伸ばせば握り返してくれる友達がいる、優しくも温かい時間・・・。
けれど、その倖せも長くは続かなかった。
レイオットの内に潜む悪魔が、今まさに目醒めようとしていた――。