僕はただ二人の髪を撫でていた。次第にその手触りが薄れていくのを感じて、しっかりと二人を抱き締めた。-ここは、街の人いわく骨董屋敷。閑静な高級住宅街の中でも一際広大な敷地には、迎賓館もかくやという威風堂々とした母屋と、いくつもの蔵が並んでいる。そのいたるところに無造作にお宝、つまり骨董品ってやつが転がっていたりする。この屋敷の家主は鑑定士で武器マニア。武器と見たら、買い取らずにはいられない。骨董全般に一流の鑑識眼をもっているんだけど、もう半端ないくらい武器を愛している。屋敷の中には博物館なみの設備を備えた武器専用の部屋が多数存在していて、蒐集品は半永久的に保管できるようになっている。世間一般には保管庫だが、家主にとってはハーレムみたいなもの。夜な夜なこれと思った武器に甘い言葉をささやいて、今日も手入れとおぼしき愛撫にいそしんでいる。
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