兼丸孝夫 兼丸孝夫

小笠原諸島南盾島の研究所、「南方諸島工廠」の所長。老齢の男性。
横浜事変で灼熱のハロウィンを引き起こした陸軍の戦略級魔法「マテリアル・バースト」が使用されたことに焦りから、海軍への実績のために強引に戦略級魔法「ミーティアライト・フォール（隕石爆弾）」の開発実験を推し進めた。自らの科学者としての自尊心を満足させるためなら周囲の被害やリスクを一切考慮せず、自らの実績を海軍にアピールするために実験に邁進する。利用するわたつみシリーズを使いつぶすことになんの躊躇いも覚えず、その扱いを見咎めた同所属の科学者である盛永から反発を受けるも一顧だにしなかった。
ミーティアライト・フォールは兵器としての威力では一国をまるごと消滅させられるほどの威力を有しているが、魔法の規模の大きさからくる成功率の不安定さと、一度発動したら飛来する質量体を止める術がないという欠点から兵器としてだけでは使い勝手の悪い。そのため兼丸はミーティアライト・フォールを本来の効果を逆転させ、脅威となる小惑星や戦略軍事衛星などを地球から遠ざける「軌道離脱実験」にて防衛兵器として成り立たせる研究も行い、その成果を用いて海軍上層部へアピールしようとしていた。
ミーティアライト・フォールの実験で飛来させた小惑星「2095GE9」が達也によって爆破されたことを確認した後、「軌道離脱実験」の実施を宣言し、わたつみシリーズたちの容態を心配する盛永の進言を退けた。九亜が脱走したことで、本来実験に12人必要だったわたつみシリーズが8人となってしまうも、それにも実験を断行し、実験の標的にUSNAの廃棄戦略軍事衛星「セブンスプレイグ」を選んだ。セブンスプレイグは約60トンの劣化ウラン弾を抱え込み、さらに30発の対地ミサイル「ヘイルオブファイア」を内蔵していることおり、失敗し地球に落下すれば甚大な環境汚染、軌道変更の衝撃でミサイルが誤射されれば世界大戦の再発も懸念されるほどのリスクを有しており、この話を盛永から聞いた達也も正気を疑っていた。案の定実験は失敗し、達也に救出され共にやってきた盛永に厳しく詰問される。実験の失敗とそれにより引き起こした事態を受け入れられず、今回の実験を次回の成功に役立てられると言い、盛永から次などないと言われると、実験の失敗はスターズの起こした大規模魔法（ヘビィ・メタル・バースト）によって魔法式が狂ったなど、魔法式の定義から考えられない言い訳を言い放ち、しきりに自らの過失を認めようとしなかった。達也がわたつみシリーズの救出に動いたことを引き金に、実験に参加していた研究員も逃げ出してしまう。わたつみシリーズをエリカたちに預け戻ってきた達也からセブンスプレイグの軌道データを端末に落とすように指示をされ、悪態まじりに拒否するも、達也の無機質な脅迫に屈しデータを記録。その後に達也が実験データの消去に動いた際には痛切に制止を懇願するも、無慈悲にデータと実験機器のすべてを破壊され、すべてを失い抜け殻のようにへたりこんでしまう。