柳瀬美智子

陽毬の祖母からペンションと陽毬を託された。
伸びない客足。徐々に劣化し、朽ちていく建物。
時間だけが過ぎていき、そして時間は少しずつ自分たちから何かを奪っていく。
今度の夏休みには、傷ついた二人の女の子が来る。
自分にできることは、ただ一緒に過ごすだけ。何もできない。何もしてあげられない。
悲しい思いもしてきたし、辛いことも経験してきた。なのに、やめたいとは不思議と思わない。
お客様の喜ぶ声と、たとえ救うことができなくても、最後に彼女たちが笑顔を見せてくれれば、それだけで背中を押してもらえる。続けていかなければならないと思う。