蜜瓜小说漫画联动特典
#1 - 2024-8-24 16:19
仓猫
放課後ガールズバンド
宴パートのバソド練習を終えてみんなとスタジオの外へ出ると、いつのまにかすっかりと日が暮れていた。
私、西野明日風はじんじんと赤くなった指先にふうふうと息を吹きかける。
最初のうちは仕方ない、ってお父さんは言ってたけど、やっばり痛いものは痛い。
それを察したのか、隣を歩いていた七瀬さんがさりげなく言う。
「西野先輩、カッティングすごく上手くなりましたね」
「本当っ!?」
思わず上ずった声が恥ずかしくて、うつむきがちに唇を結ぷ。
七瀬さんだってベースは初心者なのに、経験者のお父さんから毎晚教わってる私よりもあっというまに上達していって、ずっと焦りを感じていた。
小さい頃からピアノを弾いていた優空さんはともかく、青海さんも一度こつを掴んでからは、見るみるうちにドラムを叩けるようになって。
先輩の自分がみんなの足を引つ張ったらどうしょうって、ずっと不安だった。
七瀬さんがやっばり私の胸中を慮ったようにやわらかな声で言う。
「私も偉そうなことは言えませんが、音の切れがよくなったと思います」
その言葉が照れくさくて、頬をかきながら応える。
「七瀨さんにそう聴こえてるならうれしいな」
後ろを歩いていた青海さんがあっけらかんと続いた。
「あ、それ私も思ってた。なんかめっちやかってよくなったなーって」
「そんな、青海さんのドラムほどじゃないよ」
望さんもはしやぐようにロを開く。
「というか明日風さん、グレッチ似合いすぎじゃないですかっ!?」
「自分ではいまだに違和感あるんだけどね……」
お父さんに借りたグレッチのホワイトフアルコン。
ずっと家に置いてあったから風景の一部みたいになっていたけど、いざ自分の手に取るとなんだか身に余るようで引け目を感じてしまう。
本当はもっとあなたに似合う上手な人に弾いてほしいよね、って。
そんなことを考えていると、優空さんがやわらかく目尻を下げた。
「お世辞抜きに、私から見ても明日風さん日に日に上達してると思います」
「優空さん……」
まだそれほど付き合いが長いわけじやないけど、やさしいだけの嘘はつかない人だ。
幼い頃から音楽に触れていた優空さんまでそう言ってくれると、少しずつ前に進んでいるんだと自信がもてる。
柊さんがどこか申し訳なさそうに言った。
「なんかごめんなさい、私がバンド提案したのに自分は歌だけって」
望さんが慌ててそれに続く。
「それを言ったら私も後輩なのにみなさんにばっかり苦労を押しつけてしまって」
私と七瀨さん、それから青海さんはきょとんと顔を見合わせてから三人でいっせいにぷくっと吹き出してしまう。
確かにギターは難しい。
練習するたび指先は痛いし、お父さんは張り切りすぎて口うるさいし。
だけど、面倒を押しつけられたなんて思ったことは、いまのいままで一度たりともなかった。
小説を読むことと音楽を聴くことぐらいしか趣味らしい趣味のなかった私にとって、この歳で初めて触れる楽器はどこか新鮮で、神秘的で、幼い頃に朔兄と過ごした夏休みみたいなどきどきとわくわくが詰まっていた。
七瀬さんが肩に担いだベースをどこか愛おしそうに見て苦笑する。
「そもそも論なら、最初にバンドやってみたかったって言ったのは私だし」
青海さんがスタジオの外に出てもまだ握っているドラムスティックをくるりと回す。
「なんか性に合ってるみたいで、每日めちゃくちゃ楽しいんだよね」
私もギターケースのストラップをぎゆつと握つて言った。
「私にとっては最初で最後のガㄧルズバンド、みんなで成功させたい」
七瀬さんも、青海さんも、優空さんも、柊さんも、望さんも。
その気になれば新しいギターを探して来年また演奏することだってできる。
だけど私は、趣味程度に続けたとしても大学に行ってまでバソドを組むことはまずないだろう。
こんなふうに、楽器を背負って歩いた放課後の帰り道。
いつのまにか、君のいない場所でもみんなと並んでいた夜は
——きっと、いつまでも忘れられないと思った。
宴パートのバソド練習を終えてみんなとスタジオの外へ出ると、いつのまにかすっかりと日が暮れていた。
私、西野明日風はじんじんと赤くなった指先にふうふうと息を吹きかける。
最初のうちは仕方ない、ってお父さんは言ってたけど、やっばり痛いものは痛い。
それを察したのか、隣を歩いていた七瀬さんがさりげなく言う。
「西野先輩、カッティングすごく上手くなりましたね」
「本当っ!?」
思わず上ずった声が恥ずかしくて、うつむきがちに唇を結ぷ。
七瀬さんだってベースは初心者なのに、経験者のお父さんから毎晚教わってる私よりもあっというまに上達していって、ずっと焦りを感じていた。
小さい頃からピアノを弾いていた優空さんはともかく、青海さんも一度こつを掴んでからは、見るみるうちにドラムを叩けるようになって。
先輩の自分がみんなの足を引つ張ったらどうしょうって、ずっと不安だった。
七瀬さんがやっばり私の胸中を慮ったようにやわらかな声で言う。
「私も偉そうなことは言えませんが、音の切れがよくなったと思います」
その言葉が照れくさくて、頬をかきながら応える。
「七瀨さんにそう聴こえてるならうれしいな」
後ろを歩いていた青海さんがあっけらかんと続いた。
「あ、それ私も思ってた。なんかめっちやかってよくなったなーって」
「そんな、青海さんのドラムほどじゃないよ」
望さんもはしやぐようにロを開く。
「というか明日風さん、グレッチ似合いすぎじゃないですかっ!?」
「自分ではいまだに違和感あるんだけどね……」
お父さんに借りたグレッチのホワイトフアルコン。
ずっと家に置いてあったから風景の一部みたいになっていたけど、いざ自分の手に取るとなんだか身に余るようで引け目を感じてしまう。
本当はもっとあなたに似合う上手な人に弾いてほしいよね、って。
そんなことを考えていると、優空さんがやわらかく目尻を下げた。
「お世辞抜きに、私から見ても明日風さん日に日に上達してると思います」
「優空さん……」
まだそれほど付き合いが長いわけじやないけど、やさしいだけの嘘はつかない人だ。
幼い頃から音楽に触れていた優空さんまでそう言ってくれると、少しずつ前に進んでいるんだと自信がもてる。
柊さんがどこか申し訳なさそうに言った。
「なんかごめんなさい、私がバンド提案したのに自分は歌だけって」
望さんが慌ててそれに続く。
「それを言ったら私も後輩なのにみなさんにばっかり苦労を押しつけてしまって」
私と七瀨さん、それから青海さんはきょとんと顔を見合わせてから三人でいっせいにぷくっと吹き出してしまう。
確かにギターは難しい。
練習するたび指先は痛いし、お父さんは張り切りすぎて口うるさいし。
だけど、面倒を押しつけられたなんて思ったことは、いまのいままで一度たりともなかった。
小説を読むことと音楽を聴くことぐらいしか趣味らしい趣味のなかった私にとって、この歳で初めて触れる楽器はどこか新鮮で、神秘的で、幼い頃に朔兄と過ごした夏休みみたいなどきどきとわくわくが詰まっていた。
七瀬さんが肩に担いだベースをどこか愛おしそうに見て苦笑する。
「そもそも論なら、最初にバンドやってみたかったって言ったのは私だし」
青海さんがスタジオの外に出てもまだ握っているドラムスティックをくるりと回す。
「なんか性に合ってるみたいで、每日めちゃくちゃ楽しいんだよね」
私もギターケースのストラップをぎゆつと握つて言った。
「私にとっては最初で最後のガㄧルズバンド、みんなで成功させたい」
七瀬さんも、青海さんも、優空さんも、柊さんも、望さんも。
その気になれば新しいギターを探して来年また演奏することだってできる。
だけど私は、趣味程度に続けたとしても大学に行ってまでバソドを組むことはまずないだろう。
こんなふうに、楽器を背負って歩いた放課後の帰り道。
いつのまにか、君のいない場所でもみんなと並んでいた夜は
——きっと、いつまでも忘れられないと思った。