ep.42 夢のゆくえ
时长: / 首播:2022-11-06
君にふた心 わがあらめやも
『吾妻鏡』建暦3年(1213)5月22日条によると、和田合戦に伴って京でさまざまなウワサが飛び交い、後鳥羽上皇が京の警固のため在京御家人を留まらせたということを、京から帰参した使者が報告しています。和田方の残党が京に侵入して騒動を起こす可能性もあり、京は騒然としていました。前日の5月21日には関東で「山崩れ地裂く」ほどの大きな地震もあり、その対応に追われる中でのさらなる凶報に、責任を負う立場にある源実朝はさぞや肝を冷やしたことでしょう。
和田合戦後、建暦3年(1213)後半に実朝が自撰した『金槐和歌集』には、後鳥羽上皇への思いをつづった歌があります。「太上天皇の御書を下し預りし時の歌」という詞書の巻末三首(六六一歌~六六三歌)で、なかでも歌集全体の最後を飾る六六三歌、
山は裂け 海は浅せなむ 世なりとも
君にふた心 わがあらめやも
は著名です。
実朝は必死の思いでこの歌を詠み、後鳥羽上皇に忠誠を誓う返書に書き添えたのかもしれません。
君にふた心 わがあらめやも
『吾妻鏡』建暦3年(1213)5月22日条によると、和田合戦に伴って京でさまざまなウワサが飛び交い、後鳥羽上皇が京の警固のため在京御家人を留まらせたということを、京から帰参した使者が報告しています。和田方の残党が京に侵入して騒動を起こす可能性もあり、京は騒然としていました。前日の5月21日には関東で「山崩れ地裂く」ほどの大きな地震もあり、その対応に追われる中でのさらなる凶報に、責任を負う立場にある源実朝はさぞや肝を冷やしたことでしょう。
和田合戦後、建暦3年(1213)後半に実朝が自撰した『金槐和歌集』には、後鳥羽上皇への思いをつづった歌があります。「太上天皇の御書を下し預りし時の歌」という詞書の巻末三首(六六一歌~六六三歌)で、なかでも歌集全体の最後を飾る六六三歌、
山は裂け 海は浅せなむ 世なりとも
君にふた心 わがあらめやも
は著名です。
実朝は必死の思いでこの歌を詠み、後鳥羽上皇に忠誠を誓う返書に書き添えたのかもしれません。