2023-12-29 19:11 /
ある時(とき)、何(なに)も持(も)っていないことに気(き)づいた。
有时候,我会察觉到自己一无所有。

幸(しあわ)せが詰(つ)まっていると思(おも)っていたポケットは、実(じつ)はからっぽだった。
本以为装满了幸福的口袋,其实空空如也。
そこに何(なに)を詰(つ)める努力(どりょく)もしてこなかったんだから、当然(とうぜん)だ。
因为根本就没有努力去收集过,那也是理所当然的。
でも俺(おれ)は、そんなことさえわからなかった。
可是,我连这都不明白。
漫然(まんぜん)とした、中身(なかみ)のない人生(じんせい)を歩(ある)いてきたからだ。
漫不经心地虚度着空无的人生。
そしてある日突然(ひとつぜん)、自分(じぶん)がたくさんの時間(じかん)を失(うしな)っていると感(かん)じた。
有一天,我突然觉察到自己已经浪费了很多的时间。
俺(おれ)は誰(だれ)とでも話(はな)せた。どんなヤツとでも。
我跟谁都能聊得开,不管那是怎样的人。
でも親友(しんゆう)はいなかった。ただのひとりも。
可是却没有知心朋友。就连一个都没有。
それがどういうことだか、考(かんが)えるまでもない。
这意味着什么,其实根本不用去考虑。
俺(おれ)の人生(じんせい)は、ひどく薄(うす)っぺらいものだった。
我的人生就是这么单薄。
昔馴染(むかしなじ)みの神戸小鳥(かんべことり)だけが唯一(ゆいつ)、気兼(きが)ねなく話(はな)せる友達(ともだち)だった。
曾经只有青梅竹马的神户小鸟,才是唯一可以毫无顾忌聊天的朋友。
そう。
没错。
···友達(ともだち)、だった。
……是朋友。
(···やり直(なお)すんだ)
(……我要重新来过)
(そして、次(つぎ)はうまくやる···)
(然后,下次要做得更好)
切(せつ)なる願(ねが)い。
我衷心祈祷着。
でもたぶん、それはとても難(むずか)しいことなのだ。
只是,这大概十分困难吧。
みんな苦労(くろう)している部分(ぶぶん)なのだ。
大家都在为之忙碌奔波。
人(ひと)は自動的(じどうてき)に幸(しあわ)せにはなれない。
幸福并不会从天而降。
自力(じりき)で幸(しあわ)せに歩(ある)いていかなければならないんだ。
必须靠自己的努力走向幸福才行。
幸(しあわ)せって何(なん)だろう。
幸福是什么呢。
青春(せいしゅん)みたいなことだろうか?なら青春(せいしゅん)とは?
像青春一样的东西吗?那么青春又是什么?
「なんか、まぶしいもの」と小鳥(ことり)は言(い)った。
「是什么光彩夺目的东西吧」小鸟说。
「···知(し)るか。いちいち考(かんが)えることじゃねぇ」と吉野(よしの)は吐(は)き捨(す)てた。
「……鬼知道,根本没有仔细想过」吉野丢下这句话。
ずっと昔(むかし)、誰(だれ)だかが「人生(じんせい)の網渡(つなわた)り」と口(くち)にした。
很久以前,不知是谁说过「人生就像在走钢丝」的话。
三人(さんにん)の意見(いけん)は、どれも正(ただ)しいように思(おも)えた。
三个人的意见,我认为都是正确的。
眩(まぶ)しくて、知(し)らなくて、恐(おそ)ろしげなもの。
幸福就是耀眼的,未知的,令人敬畏的东西。
難(むずか)しいはずだ。それは答(こた)えがないってことだから。
所以幸福是难求的,因为它没有标准答案。
でもそんなものを探(さが)す旅(たび)を始(はじ)めようと、俺(おれ)は決(き)めた。
但我还是决定要踏上寻找幸福的旅途。

だけど時間(じかん)は残酷(ざんこく)に過(す)ぎていく。
只是,时间无情地流逝。
あっという間(ま)に夏(なつ)が来(き)て、まばたきする間(ま)に秋(あき)となる。
夏去秋至,时间如水。
気(き)がつけばもう二年生(にねんせい)だった。
我才注意到,自己已经高二了。
焦(あせ)っていた。
我很焦急。
未(いま)だに俺(おれ)は手(て)ぶらのままで。
因为我手中仍然空无一物。
なのに何(なに)をすればいいのかさえ、見(み)えていなかった。
可是,就连接下来该做什么我都不知道。

空回(からまわ)りばかりしていたんだ···
每天只是这样虚度光阴而已……



原文:
ある時、何も持っていないことに気づいた。

幸せが詰まっていると思っていたポケットは、実はからっぽだった。
そこに何を詰める努力もしてこなかったんだから、当然だ。
でも俺は、そんなことさえわからなかった。
漫然とした、中身のない人生を歩いてきたからだ。
そしてある日突然、自分がたくさんの時間を失っていると感じた。
俺は誰とでも話せた。どんなヤツとでも。
でも親友はいなかった。ただのひとりも。
それがどういうことだか、考えるまでもない。
俺の人生は、ひどく薄っぺらいものだった。
昔馴染みの神戸小鳥だけが唯一、気兼ねなく話せる友達だった。
そう。
···友達、だった。
(···やり直すんだ)
(そして、次はうまくやる···)
切なる願い。
でもたぶん、それはとても難しいことなのだ。
みんな苦労している部分なのだ。
人は自動的に幸せにはなれない。
自力で幸せに歩いていかなければならないんだ。
幸せって何だろう。
青春みたいなことだろうか?なら青春とは?
「なんか、まぶしいもの」と小鳥は言った。
「···知るか。いちいち考えることじゃねぇ」と吉野は吐き捨てた。
ずっと昔、誰だかが「人生の網渡り」と口にした。
三人の意見は、どれも正しいように思えた。
眩しくて、知らなくて、恐ろしげなもの。
難しいはずだ。それは答えがないってことだから。
でもそんなものを探す旅を始めようと、俺は決めた。

だけど時間は残酷に過ぎていく。
あっという間に夏が来て、まばたきする間に秋となる。
気がつけばもう二年生だった。
焦っていた。
未だに俺は手ぶらのままで。
なのに何をすればいいのかさえ、見えていなかった。

空回りばかりしていたんだ···