2022-7-9 10:43 /
――2021年4月からTVアニメがスタートし、7月2日に映画が公開となりました。TVシリーズから映画版の間にほかのキャラクターを演じられたと思いますが、キャラクターを呼び起こしたり、またTVアニメ版から映画版での違いを出したり意識した点、心がけた点などありましたか?

近藤「TVシリーズから映画の収録までは、地続きではなかったですが、そんなに期間が離れていなかった印象です。割と長いスパンで演じて作ってきている作品なので、僕はそんなにキャラクターを忘れているということはなかったです。映画版で意識した点としては、3年生を演じた側からすると実はそんなに変わっていないんです。TVアニメでも3年生でスタートしているので、今年が最後の1年なんですよね。インターハイを目指してという新体操部員としてのゴールが差し迫っただけの話で、目の前に自分たちのタイムリミットがいつか、いつかと迫ってきている状態なので、その心構えが近くなってきたといとうのはあるんですけど、それ以上はあまり感じていなかったです。たぶん2年生、1年生を演じたみなさんのほうが、その変化は感じたんじゃないかと思います」

土屋「僕は、台本を開いて読んだ時に、TVアニメの流れのままというベースがあったので、スパンが空いていて忘れてしまうということもなく、翔太郎≒土屋の中にある何かという成分が多いキャラクターを演じさせていただいているので、そこの壁はなかったです。実は翔太郎というのは変わらないというのがキャラクターの魅力であり軸でもあるので、映画でもTVシリーズの翔太郎の素直さを保ったまま演じさせてもらいました。何か大きく変わるということはなく、ト書きにも“持ち前の素直さで○○を言う”と書いてあって、翔太郎に関しては、素直ということが核になっているので、成長はしているのですが、演じる上での大切なところは素直ということを変わらずに演じさせていただきました」

石川「僕は、演じている美里をシンプルにとらえていました。今回映画になるにあたって、ストーリー性、方向性も若干変わっているところもあるので、そこは台本を読みながら、微調整しつつ役に収まっていけばいいのかなという形で臨みました。TVシリーズでは美里はただ新体操が好きという気持ちだけで突っ走ってきていて、志田監督という憧れの指導者を求めてアオ高に入ってきているので、PVでも明らかにされている通り、状況がちょっと変わってきています。美里はTVアニメで培ってきた新体操が好きから、アオ高でやる新体操が好きになっているんです。この変化によって、昔の美里ならそう思わないとか、そういう行動をとらないよねというキャラクターの動きになっています。そういうところは芯が変わったので、意識しながら臨みました」

近藤「一番心理的に変わっていくキャラクターはたぶん―」

石川「亘理さん(cv.神谷浩史)ですかね?」

近藤「(笑)。それは物語中の主軸ではある
けど。でも心理的に一番TVシリーズから含めて変化を順に追っていくと美里かなと」

石川「そうですか!?」

近藤「僕ら3年生は、それを見守っているという感じです」


――TVシリーズから演じてこられていますが、題材となっている男子新体操、その演技をご覧になったことはありましたか?ご覧になった時にはどのような感想を持ちましたか?

近藤「僕は実はあります。結構昔にTVで中継をしていて高校生の演技を観たことがありましたし、「バクテン‼」のお話をいただく少し前にも動画サイトでもたまたま観ていて、逆に決まったあとには意識的に観るようにしていました。男子新体操はやっぱり迫力があるんですよね。女子新体操はリボンやボール、クラブなどの器具を用いたり、美しさ・優美さがあるんですけど、男子の場合は力強さであったり、フォーメーションを組んで高く飛ぶといった立体的な動きが特徴的だなと思って観ていました」

土屋「元々幼少期に男子新体操を題材の作品を観ていたので、存在は知ってはいたのですが、幼少期だったこともあり、記憶が薄れていました。「バクテン!!」に携わらせていただくことになりアフレコの前に、見学にというお話があったんですが、コロナ禍で実現に至らなかったんです。ですが、つい最近たまたま大会が開催されているのをSNSで知って、実際に観たらとてもカッコよくて、衝撃を受けました。これまで何かに感動することは、少なからずあったのですが、男子新体操に直結している実際の演技やその光景を観て、アフレコ前には観れなかったものの、これをアニメにしたくなる気持ちがわかりました。生で観た時の迫力や、選手たちを見送る先生たちも見えたりして映画の公開を目前にして、より男子新体操のすごさを肌で感じています」

石川「僕は元々デンマーク体操部に所属していて、男子新体操ほどの激しい動きではないですが、音楽に合わせて動くということを中学校の部活でやっていました。参考にする近い競技ではありますが、その記憶も薄れていて、おふたりの話を聞いている間にどんな体操だったか必死に思い出そうとしていました。あらためて「バクテン!!」に関わるということになり、第1話の映像を観た時に、人が競技をしているシーンを観たほうがいいと思い、映像を観るようになりました」


――体操経験がおありということはバク転もできるのでしょうか。

石川「僕と神葉くんは体操経験者です。僕はバク転ができなかったのですが、この番組に関わる中で、やらざるを得なくなり、できるようになりました。ぜひ「バクテン!!」の公式Twitterでご確認を!全貌が明らかになっております」


――ご自分が演じている役も含め、ご自身に近いなと思うキャラクターはいますか?

近藤「僕は出てくるキャラクターの中では築館が一番近いと思います。こういうポジションを演じることが落ち着きますし、肩ひじ張らずに、無理なことをしようとせずに、いいところを築館に提供できるなと思ったので、一番築館に近いと思います」

土屋「志田監督と言ってみたい自分がいます(笑)。アオ高の監督である志田監督が、周りの心情を考えるとなかなか踏み出せないでいるけども、目指すものが変化して同じ新体操界でより幅広く違う道を目指す押さえられない衝動に駆られ、ゆるぎない信念を持っているというところに憧れますし、そういったものを今は自分も持っているなと思うので、志田監督です」

石川「僕は暗めの女川さんです。常に女川さんは明るいので、暗めの女川さんです。女川さんの明るさがなくなったら、そうなるんじゃないかなと思います。僕はいわゆるヲタク趣味を持っていて、女川さん同様に神葉くんにもあだ名を付けていたりしたので、そういう意味では暗めの女川さんなのではないかなと思います」


――本作は、男子新体操部の青春ストーリーですが、お三方にとって青春とは?

近藤「「バクテン‼」のアオ高のみなさんほどではないですけど、高校生の時弓道部に入っていたのですが、部員みんな仲が良くて、休日に集まって体育館でバレーボールをやったり、キャンプに行ったり、みんなで楽しんでいました。部員は男女合わせて40人くらいいましたね。弓道部がある学校も限られているせいか、はかま姿を見て入部したくなる人は多いかもしれません」

土屋「僕は常に青春しています!」

近藤、石川「おー」

土屋「いつ青春しただろうと思っていたのですが、中学、高校、大学、卒業してから、役者やりながらバイトしつつみたいな感じなので、常に安定時期がないというか、僕の青春のイメージは、変化の移行期間みたいな感じだと思っているので、常に“ここがあなたのステージです、ここから階段を上がっていきましょう”という感じでは今のところなく、常に変化していて、その中で不安定で、友達がいてという感じなので、今はまだ青春の中です!」

石川「逆に僕は青春していなくて……。友達も一人しかいなくて、高校1年生からバイトと声優養成所で声優を目指し始めることをしたので、団体的なことを何もしてないんです。例えばですけど体育祭、音楽祭があったとしてもその日に養成所があったら養成所に行くというようなことをしていたので、青春の思い出はあまりないんです。絞り出したいところなんですが」

近藤、土屋「(笑)」


――では最後に作品の見どころを交えメッセージをお願いいたします。

近藤「今作ではインターハイをもって3年生が部を引退するということで、事実上みなさんが知っているアオ高の現メンバーでの男子新体操部というのはここで最後になってしまうんですけども、物語はそれだけでなく、最後を感じながら活動を続けていく前後の彼らの葛藤や成長、いろんな変化、心の機微をぜひ見届けていただきたいなと思います。最後の最後まで観ていただけると、スッキリ爽やかな気持ちになれると思いますので、ぜひ観ていただきたいです」

土屋「この「バクテン‼」という作品は前向きになれる作品だと感じていますし、監督もそのような作品を作りたいとおっしゃっていて、この映画を通して、非常に胸が温かくなって、“いろいろ悩まなくてもいいかな”というふうに思えるのではないかなと思っています。劇場で素敵な気持ち、経験が『映画 バクテン!!』を通してできるのではと思っているので、何かネガティブになっている方にはもってこいの作品です。青春を思い出したいなという方にも、またTVシリーズをまだ観ていない方にも楽しめるというところが、『映画 バクテン!!』の強みなのではないかなと思います。アニメーションの描写がすごく深く、“あっ、TVシリーズのあのシーンの伏線回収をしているんじゃないかな”というような、仕組んでいるところもあるので、非常に多方面からみて深さのある奥深い作品になっています。ぜひ期待して映画館に足を運んでください!」

石川「劇場版ではなく『映画 バクテン!!』という言い方をしているのは、先ほど神葉くんが言っていたようにこの作品を観てからでもTVアニメが楽しめるように、またその逆も楽しめるよう構成されています。僕がこのインタビューの中でも話したように青春をあまり過ごしていないと言いますか、青春時代が明るくないタイプなんですけど、そんな人が観てもこれは青春だなと確信できる話になっています。それは成長があったり、別れもあったりと、そういう意味でたくさんの変化があって、そこに対して胸を打たれるドラマがありますので、最後までご注目いただいて、青春を過ごしたことがない方は、この『映画 バクテン!!』で過ごされてみてはいかがでしょうか」
Tags: 动画

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