2021-12-18 13:25 /
ハートの国のアリス〜Wonderful Wonder World〜 公式ビジュアルファンブック
書き下ろし小説

花言葉を囁いて

text by 五月攻

「愛だよ、愛。それは愛だ」
エリオットは熱心に、そしてどこか得意げに言い切った。
「愛」
私は呆然と繰り返す。愛という言葉に驚くより、このウサギさんがそれを口に出すことの違和感に。
愛なんて、私にはどろどろ重たいものにしか感じられないのに、エリオットが口にすると、それはお砂糖菓子のようにふんわり軽いものに聞こえる。
ふわふわで、軽く、甘い。柔らかく解けてしまいそうな響き。
(ああ、この人って、愛とかいうものにまだ夢があるのね)
エリオットが口にすると甘く聞こえるのは彼が愛に展望を持っているせいで、私が口にすると苦く感じられるのは私が夢を持っていないせいなのだろう。口に出す人によって、同じ言葉でもここまで違う。
「アリス、いい匂いがする」
唐突に、エリオットは顔を近づけた。
「……この匂い。好きだな。俺の好きな匂いだ」
「ええ。私にとっても……好きな香りなの」
そう言うと、エリオットは「そっか」と満面の笑みを浮かべた。
「自信を持っていいぜ。あんたに気になる奴がいて、そいつもあんたを気に入ってるなら、それは愛に決まってる」
きらきらと彼は言う。彼とて、組織のナンパー2。そこまで純粋なわけはないのだが、ボスのことになると人が変わる。
気になる人がいるのだと相談する私に、それは愛だ、愛情だと繰り返す。指すのが、彼のボス、ブラッド=デュプレだと思って、きらきらしながら後押ししてくれる。
エリオットはブラッドが好きで、私のことも好きで、だから私達がうまくいってくれれば嬉しいらしい。好きなものに対して、彼の思考は単純化している。
「愛。そうなのかしら」
「うんうん、そうに決まってるぜ。きっと、両想いだ」
「ふうん? たしかに、告白したら応えてくれそうではあるけど」
「ああ! 絶対に応えてくれるって! 喜ぶぜ、ブラッドも!」
絶対に応えてくれる、か。本当に、単純だ。
そして、勇気がある。好きな人に好きだと伝えられる勇気。恋でも友情でも憧れでも、どんなものでも面と向かって伝えるには勇気がいる。エリオットは、その勇気を持ち合わせている。
私と違って。
「でもね、エリオット」
「ん?」
にっこり笑ってやる。私にはない勇気が妬ましい。
「私が気になってる人って、ブラッドじゃないのよ?」
「え」
「別な人が気になっているの」
これって、爱なのよね?
そう、にっこりと。

ボスに忠実なウサギさんのせいで、私は痛いめにあっている。
口止めをしなかったとはいえ、分かりやすい男だ。やはり、エリオットは単純。それに、やはりマフィアだ。酷い人。
「なあ、アリス」
「な……に……っ」
「気になる奴がいるそうじゃないか」
「……っ……」
筒抜けになるのは予想がついていたが、思った以上に早かった。心構えが出来ていない。
「手抜きをしたつもりはないが……。よくも、他に目をやる余裕などあるものだ」
「……つ……ぅ……」
痛くてきつい、無理な体勢を強いられ、軋むような声が上がる。
「……何か、私に言うことはないのか? エリオットにではなく、私に聞かせることは?」
耳をくすぐる吐息は熱いのに、声は冷たい。私達の関係そのものを表しているようだ。
「喘ぎ声以外で」
(そんな、オヤジくさいこと言われなくても)
わざわざ注釈をつけてくれなくても、分かっている。ずっと、意味のない声しか口から出ない。
「あんたこそ……っ」
もっと、まともなことは言えないのか。明確に、引きとめてはくれないのか。
体以外で。
「……っ……、言いたいことがあるならっ、言いなさいよ……っ」
「……」
汗が私の体に滴る。感じていないわけでもないくせに、平常を装うから応えられない。
私だって、応えたい。絶対に応えてくれるなんて、一度でいいから思ってみたい。
(いつも……全部先回りするんだから、最後まで応えてよ)
私が付いていけないくらいに気まぐれに貶めたくせに、これという確信はくれない。私からは、絶対に折れたくない。……応えたいが……、絶対に応えたくない。私からは。
「ん……」
「……嫌な匂いがする」
エリオットと同じように顔を近づけ、匂いを嗅いで、反対のことを言う。
「しばらく、敷地内から出さないからそのつもりでいろ」
結局、引き出せたのは束縛だけ。

耳がしゅんっと垂れている。
(わっかりやす……)
「ごめんな、アリス」
私を敷地から外へ出すなと命令を受けたらしい。エリオットが謝罪してきた。
「告げ口したこと、悪いと思っているの?」
「告げ口って……っ」
「違う?」
責めるわけでもなく問うと、エリオットは耳と同じく、項垂れた。
「……。そうだよな。告げ口だ……。……ごめん」
悪いと思っているようだ。それは、彼の様子からも明らか。
(でも、また同じようなことがあったら、同じように告げ口するわよね?)
ブラッドの不利になる(と判断したこと)場合、エリオットはけして口を閉ざしていられないだろう。そして、悪いと思っていてもブラッドに告げるだろうし、悪いと言いながらも今だって屋敷に私を軟禁する。
でも、私はエリオットを責めたりしない。
「いいわよ、謝らないで」
だって、私は分かっていて相談したのだから。
「アリス……。ごめん……」
「謝らなくていいの」
エリオットは、予想通りに行動してくれた。謝罪の必要なんて、まったくない。漏らしてほしくないのなら、ロを噤んでいれぱいい。
私の行動は、そんなに難解ではないはずだ。
(どうして気付かないのかしら)

「男は皆、馬鹿なのだ」
私の“気になっている”人は、馬鹿ではない。
彼女は女性なので。「男は皆、馬鹿」という彼女の弁に従えば、私と彼女は馬鹿ではない。
「でも、ビバルディ。そんなことを言ったら、世界で約半分の人は馬鹿だってことになるわよ」
「その通り。だが、実際にはもっと馬鹿の割合が高い」
「半分より、もっと?」
「そうとも。半分よりもっと多い。女の中にも馬鹿な奴はいるからな」
世界には、馬鹿が溢れているというわけ。
「じゃあ……、私はその、馬鹿な女の内に入るわ」
後ろ向きに倒れる。座っていたのは芝生なので、衝撃は少ない。
「自分でも馬鹿で最悪な奴だって思う」
「……おまえは馬鹿な女ではないよ、アリス」
「甘やかさないで」
この世界の住人は私に優しい。それは、残酷な赤の女王・ビバルディとて例外ではない。
「甘やかしてなど」
そうは言っても、やはり甘い。
「馬鹿な女とは、自分が馬鹿だと分かっていない女だ」
女性の政敵を思い出しているのかもしれない。彼女は冷酷さを表に出す。
冷たい面を見るたび、安心する。私には甘いとより実感できるから。
……醜い優越感だ。
彼女が垣間見せる冷たさは、そっくり……。
「愛しているわ」
寝転がったまま、呟いた。視界には青空が広がっている。
ここは薔薇園、帽子屋屋敷の領土内。敷地から出られなくとも、彼女から訪ねできてくれる。
お気に入りの夕刻でなくとも、私のために。
「愛している」
口に出せば、その通りのような気がしてきた。私は、愛している。
薔薇の花言葉。花言葉なんて乙女チックだが、有名なので私も知っていた。
目を閉じて、薔薇の香りを吸い込む。隣にいるのは……。
「……この匂い、好きなの」
目を閉じたまま手を伸ばし、隣に座る人の手に触れる。
ほっそりとしている。手袋を付けていない手が、寝転がる私を抱きしめてくれた。まったく違う感触なのに、胸に広がる甘い香りは薔薇色だ。
「代わりを作るのは、楽だ」
現実に引き戻されて、見上げればビバルディは私を見ていなかった。座ったまま、先刻の私と同じように空を見ている。
「身代わりを作っても満たされはしないぞ、アリス」
「それを、あなた言うの」
愛人を作り、飽きたら首をはね、また愛人を持つ。満たされないと知っていることを繰り返す女王樣が、私に説教をするのか。
「説得力がないか」
「ええ、ちっとも」
だから、説得されたりしない。満たされなくとも、代わりが欲しい。
「……おまえは、もう少し賢いかと思っていたよ」
「ご期待に沿えなかったわね。言ったでしょう。私は馬鹿なの」
失望させて申し訳ないが、私は賢くなんかない。馬鹿な女だ。
「自分が馬鹿だと分かっていても、結局馬鹿は馬鹿だわ。同じことよ」
「そう」
愚かで、救われない。
踏み出すような勇気が持てない。
「わらわと同じだね」
ビバルディは上を向いたまま、ばたりと倒れこむ。私の上に。
「わっ」
重みを感じるがそこまでではない。彼女はそのまま反転して私を抱きしめてくれた。彼女の弟と同じくらい手馴れた動作で、私を押し倒す。
「気持ちは分からないでもない。いいよ、代わりになってあげる」
優しい香りに包まれる。近付きすぎると香水は濃すぎて、いい香りだが作り物めいていた。似ているのに、違うもの。
「わらわは、おまえが気に入っているから」
「私もよ。気に入って……気になってもいるの」
応えてくれると保証された体を抱き締め、抱き返される。体を繋げなくても、安心できる。
これを愛だというのなら、どんなに楽なことか。

「姉貴の匂いかする」
「そうでしょうね。会ってきたもの」
「外に出ることは禁じたはずだ」
「承諾したつもりはないけど?」
テンポよく返すと、殺されそうな目で睨まれた。
「出たのか」
凄まれて、さすがに嘘もつけない。それに、無意味だ。やってもいない罪を問われたくはない。それが、罪とも呼べないものなら尚更、罰せられたくない。
「敷地から出ていないわよ。ビバルディとは薔薇園で会ったの」
「薔薇園か……」
忌々しそうに。
「……あそこは潰したほうがいいかもな」
大事にしていたはずの場所なのに、簡単に捨てられる。
「あなたにとって、その程度の場所だったの」
「姉貴と君との密会場所を作ってやったわけではない」
答えになっていない答えが返された。
「密会なんてしていないわ」
「そうだな。堂々としたものだ」
ブラッドは、器用に指先だけでボタンを外していく。
「堂々と、二股をかけるとはな」
「そんなこと、していないわ」
弁明の必要もない関係なのに、つい反論してしまう。浮気を責められるような事実もないし、それ以前に、本命あっての浮気だ。
「服の中まで染み込んでいるのにか?」
「会っただけよ」
「会っただけで、香りまで移るまい」
服越しでなく、素肌を直接確かめられる。
「恋人面する気なの」
「……。君は、私の情婦だ」
「情婦、ね。情人だとか愛人だとか、そういうのって、もっとドライな関係かと思っていたわ」
「君は、物分りがいい。簡単に割り切れる」
誉めるように、貶すように。しかし、行動といえばひどく苛立たしげで。
残りのポタンが飛ばされる。
「ちょっと……。乱暴にしないでよ」
「丁寧に扱えというのか? 割り切った関係でいいんだろう?」
「割り切るっていうのは、どう扱ってもいいってことでもないはずだわ。私は人形じゃないのよ」
感情だって、ちゃんとあるのだ。
「何も感じていないとでも思っているの」
「まさか」
体を這う手。ほっそりとはしていない、男の手だ。まだ手袋に包まれている。
あまやかな柔らかさを備えたビバルディの手とは違う、ブラッドの手。
「君が感じやすいことは知っているよ」
「……」
呆れるしかない。
(男なんて、馬鹿ばかり)
ビバルディは、いつも正しい。男女の差なのか、姉弟でも大違い。
「嫌な香りだ」
匂いを嗅がれるというのは、どうにもくすぐったい。ブラッドの前髪が首筋をくすぐり、驯染んできた愛撫よりも敏感に反応してしまう。
(触られることだって、馴染めたものじゃないのに)
変な感覚ばかりを覚えこまされる。
「そう? ブラッドは、この匂いが嫌いなの」
「ああ。好きじゃないな」
「好みじゃないのね」
念を押す。ブラッドは、「奇妙なことを言う」と、怪訝な目で私を見る。
「自分の女に、他人の香りがつくのを好ましいと思う男がいるものか」
笑ってしまう。
「ふふ」
面白くて、小さく笑みが零れる。
「何がおかしいんだ」
的外れな反応を返されたと思っているのだろう。私からしてみれば、ブラッドのほうがおかしい。
(どうして気付かないのかしら)
主従そろって、気付かない。私がよほど分かりにくいのか、彼らが鈍いのか。
私が、純真にでも見えているのだろうか。
所有欲は男だけの特権ではないし、私はそんなに純情じゃない。私だって手に入れたい。私を貶めた男を、私が堕としてやりたい。
必ず応えてもらえる確証がなければ、私から薔薇を捧げたりしない。絶対に。
あなたにだけは、絶対に。
「香りって、まとっている本人は気付かないものよね」
薔薇の香りは、あなたからすればビバルディの香りかもしれない。
でも、私にとっては……。
「ああ。だから、君も気付かなかったんだろう。しっかりと香りが染み付いているぞ」
ブラッドは、やはり見当違いの見方をする。
嫉妬なら分かりやすく出来るくせに、踏み込めば表情を消す。香りだけを残して、突き放す。
私だって馬鹿だから、言葉がないと自信なんか持てない。
「そう。染み付いちゃっている?」
いっそ、落ちないほどの。
(薔微を贈ってよ)
薔薇園を潰すなんて、口先だけでも言わないでほしい。大事に育てて、いつか贈ってほしい。
(あなたが育てた薔薇を)
「私は、この香りが好きよ。抱きしめられているみたい」
愛しい気持ちをこめて囁くと、跡がつくくらいに拘束が強まった。
「消してやる」
「どうやって」
「私の匂いで、消してやろう」
彼に不似合いなくらい生真面目に言うから、私はまた笑いそうになる。
安い台詞だから。そして、不可能なことだから。
(そんなの、無理よ)
抱きしめられているような錯覚を起こす香りを消すために、ブラッドは私を抱きしめる。彼の香りが私を包む。
(無駄だわ)

ブラッド、あなたは知っているかしら?
私が誰に抱きしめられたいのか、馬鹿な男のあなたには分からない。
造園をしているせい?
変な帽子につけた薔薇の飾りのせいかしら? それとも血なのかしら?
少なくとも、お姉さんと抱き合って移った香りでないことは知っているけれど。
仄かに、香水じゃない、作り物とは違う匂いがするわ。
ねえ、ブラッド。
(あなたって、薔薇の香りがするのよ?)

花ほど、人は語らない。

FIN...

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*翻译时主要名词参考了重置国的民间汉化版,但考虑到花语把“蔷薇”全部改成了“玫瑰”。翻译有误的话欢迎指正。

呢喃花语

「这是爱,爱。这就是爱。」
Elliot热心地,又有点得意地一口咬定。
「爱。」
我呆呆地重复着他的话。我对“爱”这个词本身并没有感到意外,但听兔子先生说出这个词时却有种异样感。
“爱”这个词,在我看来明明只会让人觉得纠葛沉重,但Elliot一说,听上去便像甜点般柔和轻盈。
柔和、轻盈、甜美。听上去柔软得仿佛要化掉。
(啊,他还对爱这种东西心怀希望。)
Elliot说出口时听着甜美是因为他对爱怀有期待,我说出口便觉苦涩是因为我不抱期望吧。说话的人不同,同一个词听上去竟如此迥异。
「Alice,你身上有种好闻的味道。」
Elliot突然把脸凑了过来。
「……这气味,我喜欢。是我喜欢的味道。」
「嗯。我也……喜欢这香味。」
我这么一说,Elliot便说着「是吗」露出满脸的笑容。
「放心吧,对自己有点信心。有个你很在意的人、那个人也很钟意你的话,那肯定就是爱了。」
他两眼放光地说道。Elliot好歹也是组织的二把手,虽绝非如此单纯之人,但他一碰上自家老大的事儿就像变了一个人。
我因为有在意的人而找他商量,他不停地说着那就是爱、是爱情,大概他以为我说的是他家老大——Blood Dupre,所以两眼闪闪放光地撺掇我。
Elliot喜欢Blood,也喜欢我,所以如果我们顺利交往他会很开心吧。一碰上喜欢的东西,他的思考就会变得很单纯。
「爱。这是爱吗?」
「嗯嗯,肯定是爱。你们肯定是两情相悦。」
「哼嗯?确实,如果我告白的话对方很可能会好好回应。」
「啊!绝对会的!Blood他也会很高兴的!」
绝对会回应,吗。真是单纯。
同时勇气十足。能够向喜欢的人说“喜欢”是需要勇气的。恋爱也好友情也好憧憬也好,不管是怎样的感情,当面向对方告白是需要勇气的。而Elliot有相应的勇气。
跟我不一样。
「但是啊,Elliot。」
「嗯?」
我冲他微微一笑,嫉妒着我没有的勇气。
「我在意的人,可并不是Blood喔?」
「哎?」
「我在意的是别人。」
这是爱,对吧?
我微微笑着。

都怪忠心于老大的兔子先生,我此刻正在受难。
虽说我没让他保密,但他也真好懂。果然Elliot很单纯。但他果然是黑手党。好过分。
「我说,Alice。」
「什……么……」
「听说你有在意的人?」
「……啊……」
虽然我预想到了肯定会走漏风声,但这却来得比我想得早。我还没做好心理准备。
「我可没打算手下留情……真亏你还有余力去关心别人啊。」
「……呜……啊……」
又痛又难受,被逼着摆出别扭的姿势,我只能发出呻吟似的声音。
「……你没有什么话要对我说吗?不是说给Elliot,而是说给我听的话?」
搔弄耳畔的气息明明是火热的,声音却是冰冷的。就像是我们的关系一样。
「用娇喘之外的方式。」
(用不着把那种色老头一样的话说出口。)
不需要刻意说明,我也很清楚,自己一直只能发出毫无意义的声音。
「你才是……」
不能说句正经话吗。不能明确地挽留我吗。
用肉体之外的方式。
「……呜……有话想说的话,唔,就好好说啊……」
「……」
汗水落到我身上。我并非毫无感觉,但为了做出若无其事的样子而无法回应。
我也想好好回应。哪怕只有一次也好,我也想要相信对方绝对会回应。
(平时总是……被你安排得清清楚楚,那你就好好回应到最后啊。)
明明随心所欲地羞辱我,让我承受不来,但却不肯给我明白的确信。我绝对不要主动低头。……虽然想要回应……但绝对不要回应。绝不主动。
「嗯……」
「……有股讨厌的味道。」
他跟Elliot一样把脸凑了过来,闻过气味却说了相反的话。
「我暂时不会放你出宅邸,你做好心理准备吧。」
最后招来的只有束缚。

耳朵无精打采地耷拉着。
(真~好懂……)
「抱歉,Alice。」
大概是接到了不许放我出门的命令,Elliot跑来道歉了。
「你是因为打小报告这事过意不去吗?」
「说什么打小报告……」
「不是吗?」
我不带责备之意问到,结果Elliot不仅是耳朵,连脑袋都耷拉了下来。
「……确实。是打小报告……。……抱歉。」
他确实是过意不去。这点一看便知了。
(但是,如果再碰上相同的事情,你还是会去报告的吧?)
一旦遇上(被他判断为)不利于Blood的状况,Elliot绝不会缄口不言吧。然后,就算是过意不去也会向Blood报告,一边说着抱歉一边把我软禁在宅邸中。
但我并不会去责备Elliot。
「没关系啦,不用道歉。」
因为我明知如此仍然去找他商量了。
「Alice……抱歉……」
「不用道歉啦。」
Elliot按我预想的那般行动了。他完全不需要道歉。如果不想走漏风声的话,我只要闭口不言就好了。
我的行动应该并不难懂的。
(为什么他意识不到呢?)

「男人都是笨蛋。」
我“在意的人”,并不是笨蛋。
因为她是女性。按她说的「男人都是笨蛋」的话,我跟她都不是笨蛋。
「但是,Vivaldi,要这么说的话,世界上得有一半人都是笨蛋了。」
「正是。但实际上笨蛋的比例还要高些。」
「比一半还多?」
「可不是。比一半还多。女人也不乏笨蛋的。」
原来这世上净是笨蛋。
「那么……我也算是笨女人了。」
我向后倒下。因为坐在草坪上,冲击并不强烈。
「我自己都觉得自己又傻又差劲。」
「……你可不是笨女人,Alice。」
「别惯着我啦。」
这个世界的人对我很温柔。这点连残酷的红色女王·Vivaldi也不例外。
「才不是惯着你。」
虽然她这么说,但她果然很宠我。
「笨女人是不知自己愚蠢的女人。」
她或许是想起了女性政敌,明确地露出了冷酷的一面。
每每看到她冷酷的表情,我就会安下心来。因为这更能让我体会到她多宠我。
……真是丑陋的优越感。
她稍稍露出的冷酷,跟那个人一模一样……
「我爱你。」
我躺在地上,如此念着。眼前是无尽的青空。
这里是玫瑰园,在帽子屋宅邸的领土内。就算我没法从宅邸中出去,她也会来拜访。
就算不是在她喜欢的黄昏时分,她也会为我而来。
「我爱你。」
一说出口,便觉得真的如此了。我爱那个人。
玫瑰的花语。花语这种东西太过少女,但这一条太有名了所以我也知道。
我闭上眼睛闻着玫瑰花香。而在我身边的是……
「……我喜欢这味道。」
我闭着眼睛伸出手,触碰着身旁的人儿的手。
纤细光滑。没戴手套的那双手抱住了躺在地上的我。明明是全然不同的触感,我的胸口涌起的甜美香气却是玫瑰色的。
「找替代品确实轻松。」
被拉回现实,我抬头看向Vivaldi,而她却没看着我。Vivaldi就那么坐着,跟刚刚的我一样,看着天空。
「找了替身也不会心满意足的,Alice。」
「这话是由你来说的吗?」
找情人之后腻了就砍头,然后再找新情人。明知不会满足,却还不断重复这一行为的女王陛下,要来对我说教吗。
「没有说服力吗?」
「嗯,一点都没有。」
所以我才不会被她说服。哪怕无法满足,我也想要替代品。
「……吾还以为你会更聪明点。」
「没能达到您的期待呢。我说了吧?我是个笨蛋。」
虽然让她失望我有些过意不去,但我并不聪明,而是个笨女人。
「就算知道自己是个笨蛋,笨蛋也还是笨蛋。一样的。」
「是么。」
愚蠢,无药可救。
没有踏出那一步的勇气。
「跟吾一样呢。」
Vivaldi面朝上啪嗒躺下,躺倒在我身上。
「哇!」
有些重量,但并不沉重。她接着转过身来抱住了我,用跟她弟弟一样熟练的动作将我推倒。
「吾也不是不懂你的心情。好啊,那吾就为你当一回替身吧。」
我被柔和的香气环抱着。一旦靠得太近香水味就会太浓,虽然很香但总有种人工感。虽然相似,但却不同。
「因为吾很钟意你。」
「我也是。很钟意……很在意你。」
我抱紧肯定会回应我的人的身子,而她也抱紧了我。就算身体没有相连,也能让人安心。
如果这是爱的话,该有多轻松惬意。

「有大姐的味道。」
「那是自然的。毕竟我去见她了。」
「我可是禁止你出门的。」
「我可不记得自己答应过呀。」
我迅速地回答了他,于是被他用杀人般的眼神瞪了。
「你出去了吗?」
被这么一威胁,我自是不敢撒谎了。而且撒谎也没有任何意义。我可不想因为自己没做过的事而被兴师问罪。更何况这本来就不能算罪过,这就更让人不想受罚了。
「我才没离开过宅邸。是在玫瑰园见的Vivaldi啦。」
「玫瑰园啊……」
他看上去很恼火。
「……或许把那园子毁了比较好。」
明明他一直非常珍惜那里,现在却又轻易地把它舍弃了。
「对你来说,玫瑰园就只有那么点价值吗?」
「我可不是为了让大姐跟你幽会才建的园子。」
答非所问。
「我们才不是在幽会。」
「确实。你们是光明正大地约会。」
Blood只用指尖,灵巧解着扣子。
「竟然堂堂正正地劈腿啊。」
「我才没有呢。」
明明是无需辩解的关系,我却忍不住反驳了。我并没有做过能被指为出轨的事,而且在此之前,得先有正牌恋人才能出轨。
「明明气味都已经沾染到衣服里面去了?」
「只是见个面而已。」
「只是见个面的话,是不会染上香味的。」
他不是隔着衣服,而是直接确认着我的肌肤。
「你当自己是我的恋人吗。」
「……你是我的情妇。」
「情妇啊。我还以为秘密情人啊姘头啊之类的关系,应该是更干脆利落的。」
「你还真懂事,能轻松放开。」
他像是在夸我,又像是在贬斥我。但要说他的行动,是显得非常不爽的。
剩下的纽扣被扯飞了。
「等等……别那么粗暴啊。」
「是想要我好好对待你?你不是想要干脆利落的关系吗?」
「干脆利落可不是能让人随意对待的意思。我可不是玩偶。」
我也是有感情的。
「你难不成以为我什么感觉都没有?」
「怎么会。」
爬过我身体的手,并不纤细也不光滑的,男人的手,仍被包裹在手套中。
跟Vivaldi那双带着甜美柔软质感的手不同的,Blood的手。
「我知道你很敏感的。」
「……」
我真的无语了。
(男人净是些笨蛋。)
Vivaldi总是对的。不知是不是男女的差异,明明是姐弟却截然不同。
「真是讨厌的香味。」
被人闻着身上的味道的时候总是会痒痒的。Blood的前发擦过我的脖颈,比起熟悉的爱抚更能让我敏感地产生反应。
(明明我以前连被触碰都未曾习惯。)
他净让我记住些奇怪的感觉。
「是吗?Blood你讨厌这个味道吗?」
「啊,并不喜欢。」
「不喜欢是吧。」
我一再确认。「说什么怪话」,Blood用惊讶的眼神看着我。
「怎么可能有男人会喜欢让自己的女人染上别人的香味?」
我笑了。
「呵呵。」
实在太好笑了,我忍不住笑出了声。
「有什么好笑的?」
他大概是觉得我做出了驴唇不对马嘴的反应吧。在我看来,Blood的反应才比较荒诞。
(为什么注意不到呢。)
主从两个都注意不到。是我太难懂了呢,还是他俩太迟钝了呢。
我看上去有那么纯真吗。
占有欲并非男人专属的特权,而我也并没有那么纯情。我也想要得到,想要亲手让羞辱我的男人为我倾倒。
要是没有能够确实地得到回应的保证,我绝不会主动献上玫瑰。绝不。
唯有向你,绝不。
「香味这种东西,沾上气味的本人反而察觉不到呢。」
在你看来,玫瑰花香约是Vivaldi的香味。
但是,对我来说……
「是,所以你才没注意到吧。你身上可实实在在地沾上了香味。」
Blood果然还是做出了错误的判断。
明明他会显而易见地表现出嫉妒,但一旦我深入他就会藏起表情。只留下余香,把我推开。
因为我也是个笨蛋,他不说出口我怎会有自信。
「是吗。有好好地带上气味?」
干脆,让这香味浓到不会消失。
(送我玫瑰啊。)
毁掉玫瑰园这种话,哪怕是戏言我也不希望他说出口。希望他悉心养大,然后总有一天送给我。
(你细心呵护的玫瑰花。)
「我喜欢这个香味。像是被抱着一样。」
我心怀爱恋地呢喃着,于是拘束强得要在我身上留下痕迹。
「我给你去掉。」
「怎么去?」
「用我的气味,盖过去。」
他说这话的时候认真得都不像他了,我便不由得想要笑。
因为这台词太轻浮烂俗,也因为这压根不可能。
(不可能做得到的。)
为了抹去给我拥抱的错觉的香味,Blood抱住了我。他的香味环抱着我。
(没用的。)

Blood,你知道吗?
我想要被谁拥抱,你这笨男人是搞不懂的。
是因为建造了玫瑰园?
或是因为奇怪的帽子上装饰着的玫瑰饰品?还是因为血缘?
至少我知道这香味并不是因为跟你姐姐相拥时沾上的。
淡淡的,并非香水,跟人工的气味相异的味道。
听我说,Blood。
(你身上,可是有着玫瑰花香的哦?)

人并不像花儿那般善言。

FIN...
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