2018-9-28 08:06 /
「けっこう具合がいいね。前会った時から少し日が空いてるのに」
「……ッ」
「もしかして……一人でシてた?」
 
指を締め付けてくる感触をゆっくりと吟味しながらそう囁く。こいつが恥ずかしがる顔を存分に拝んでやるためだ。
唇を奪ってからは少しの間、ソファーにて暁のハイネックをたくし上げ乳首をしゃぶりつくしていた。ただ、しばらく経ったところで無言で頬をつねられた。……責めがしつこいという抗議だったらしい。先刻の予告通りちょっといじわるしてやっただけだ。とはいえ突起を弄り倒しているうちにこちらも股間が窮屈になっていたため、取りあえず胸は解放してやった。
今はベッドに場所を移し、もはや入り口と成り果てた穴を慣らしているところだ。いつからか屋根裏に常備されているローションのおかげで、既に二本分がにちにちと飲み込まれている。
 
「してたよ。お前のこと、ッ考えながら……」
「ほんとに??」
 
揶揄のつもりだったのに本当に白状するとは思わなかった。まさかこんなにあっさり認めるとは、話を振ったこちらが驚いてしまったくらいだ。
俺のことを考えながら後ろでオナニーしていただなんて、ちょっと会えない間にそんなに欲しかったのか。どんな理由でもジョーカーに……暁に求められるのは悪い気はしない。つい口元が緩んでいく。
 
「暁は正直だね。ご褒美と言うのもなんだけど……いっぱい気持ちよくしてあげる」
「いつもなってる。ンっ…、…悦すぎて、むしろ少し苦しい」
「……初っ端からあまり煽らないでよ。我慢出来なくなるだろ」
「ッふ…!ぁ…、お前が我慢してたことなんてあるのか?一回で終わらせたことないくせに」
「……なかったかも」
「わかればいい」
 
彼はセックスの最中の方が普段より口数が多い気はしていたが、今日の暁も相当だ。むしろいつにも増してふてぶてしいかもしれない。
ここ最近はジョーカーとしての彼を相手にしていたため、素の状態でここまで煽動されるのは余計に目新しく感じる。怪盗服を纏っている暁は恋人として二人きりの時であっても、異世界で見せる不敵な態度が顕著に残っていた。誘ってくるのはもちろん、自ら進んで咥えこんだり跨ってきたりとまるでこちらの方が弄ばれている気分になるほどだ。
ただそんなジョーカーも快楽に飲まれるにつれ、徐々にされるがままになっていく。その頃合いを見て組み伏せ好き勝手に犯す――それが最高に俺のどす黒い部分を昂らせたのだ。全て俺より劣るはずなのに幾多の仲間に慕われるこいつを、ねじ伏せたかのような錯覚。この征服感は鮮烈な欲として凝縮され、毎回つい二発三発と受け入れさせていた。
今の暁にはジョーカー時に匹敵する大胆な姿勢を感じる。口上では自分の方がまだ押され気味だが、こいつもいずれ俺の下で啼くようになる。そう想像したらぞくぞくと嗜虐心がざわつきだし、ナカを探る指に力が籠った。
 
「三本目もすんなり入ったよ。そろそろ大丈夫かな……?」
「んん゛っ…!!…ッあ、ぅ」
「よさそうだね」
 
狭いはずの穴が指三本を難なく受け入れるのを確認し、ずるりと内壁を撫でながら少しずつ引き抜いていく。指から解放されてもなお、そこは更なる質量を求め名残惜し気にひくついていた。そんな様子を見せられたら生唾を飲み込むのも当然だ。早くここにぶちこみたい。
粗末なベッドは相変わらず固くて膝が痛くなりそうだ。とはいえ、メメントスで盛るときは椅子やら床やらの上だったのでそれよりは幾分かマシだろう。暁を組み敷き正常位に持ち込もうとしたところで、なぜか彼がやんわり拒む素振りを見せた。
 「屋根裏でするのは久しぶりだろ。だから顔と身体がよく見えるのはちょっと、その……恥ずかしい。上に乗ってもいいか?」
 
図太い態度には一見似つかわしくないようにも感じる提案だ。
そういえばメメントスでは仮面や服をほぼ残したまま抱いていた。接触する前からも一方的に異世界で見受けていた高潔な漆黒、それを穢してやりたかったからだ。最近はあの格好で致していたから、久々に素顔と肉体をさらけ出すのに抵抗があるということだろう。
それに今夜は月が曇りなく輝いているせいか、電球が消された部屋でも艷やかな肌がよく見える。
 
「構わないよ。そのかわり、とびっきりやらしく動いてくれると嬉しいな」
「期待してもいいぞ。あ、身体は起こしておいてくれ。……ん…、…この体勢なら、お前にあまり見られないようにしながらちゃんと触れ合える……」
 
爽やかな顔で投げておいたいかがわしい要求には臆することなく、暁が俺に跨ってきた。膝立ちの状態で額に軽くキスを落とされると普段とは違う目線の高さが際立つ。見下ろされるのは少し癪だが、この体位は下から突き上げつつ胸も好きに弄べるので嫌いじゃなかった。暁は恐らく俺にしがみつきながら肩に顔を埋めることで肉体を隠すつもりだろう。
……自分で腰を振るのはいいくせに、顔や身体を見られるのは恥ずかしいのかよ。ちょっとはカワイイところもあるじゃねえか。つい下卑た笑いがこみ上げかけたのを押し殺した。
 
「へえ……恥ずかしくて見られたくないとか言ってる割にはずいぶん積極的。最初の頃は僕が上に乗せても顔を真っ赤にしちゃって動けなかったのに」
「忘れててもいいことはよく覚えてるな」
「今はジョーカーじゃないからなおさら新鮮だなぁ。素でもいつの間にかそんな大胆なこと出来るようになったんだね」
「お前とするのに慣れたっていうのもあるとは思うが……強いて言えば、人が多い時間にコスモタワー・バーガーとか食べにいってたら多少のことでは動じなくなった」
「え、あれを……!SNSで話題だった写真で見たことあるけど……あんなのが君の細い身体に全部入るだなんて信じられないな」
「こんなのをいつも俺に挿れてる奴がよく言うよ」
 
そう挑発的に囁かれ、下着の中で行き場を失っていたそれを後ろ手でふいに揉みこまれた。突然の刺激に変な悲鳴が出そうになったのを必死に飲み込む。前言撤回だ。全然かわいくねえ。ベッドに連れ込んでからは意味深なお喋りはしなくなったものの、さっさと喘ぐことしか出来ない状態にしてやりたいくらいだ。
しかも揉むだけでは飽き足らず、暁の手は無遠慮にスラックスの前を寛げていく。いきり立った雄は勝手に外気に放り出されてしまった。
 
「お前ももう準備万端か?相変わらず大きい……俺のおっぱい弄ってるとすぐガチガチになるもんな、明智のは」
「ん゛…ッ!?…う゛、ァ」
 
戸惑う暇もなくその手が敏感な亀頭を直接触れてくる。汁を零す穴を拡げるかのようにぐりぐりと指先を押し込まれたら声など抑えられない。暁の乳首への愛撫で自分まで勃起させているのが気づかれていたことを知り、顔まで妙に熱くなっていく。
控えめと見せかけて積極的なところがいいとは確かに言ったが、もはやクソ生意気な部類に入る。これでは俺が暁の手で転がされているみたいじゃないか。文字通り指先で先端を撫でくり回されるのを鋭敏に感じながら悔しさを煮えたぎらせた。……とはいっても、胸への執着を指摘されたのが思った以上に恥ずかしかったという逆恨みも多少含まれている。
ただ脳内のそんな激情も、裏手で幹全体をぬるぬると扱かれる感触によってかき消されてしまった。性急に高めさせられていく欲望は確実に肉体に浸潤していく。
 
「おい、…!!…ん、…ぁ、っあ゛、」
「結構余裕なさそうだな。ほんとに硬い」
「わかってるなら……っう゛、ぁあ、…!…ねえッ、そろそろ」
「いいよ。……俺も欲しいから」
 
硬さを吟味するようにゆるりと擦る手も、される側からしたらあくまで刺激でしかない。早く挿れたいという至極単純な欲求だけが頭を支配している。少々情けなくも切実な催促が素直に聞き入れられたことに安堵した。
膝を立てていた暁が腰を落とし始めたことで、期待に胸と下半身を震わせる。しかし濡れた切っ先は入り口をずるりと滑らされただけで、侵入までは許されず肩透かしをくらった。焦燥に駆られ暁を見上げれば、素直さなどない扇情的な笑みを見せつけてくる。
まだ内部に受け入れるのではなく、昂ぶりを尻肉で挟むようにして蕾に押し当てているだけだ。暁がわずかに腰を揺らしちゅくちゅくと肉棒に窄まりを擦り付けられると、自分のそれにびくりと血管が滾るのを感じた。彼もけして悠長な様子ではないもののあまりにひどい生殺しだ。今や触覚を占有しているペニスによれば暁の穴もひくひくと蠢いており、欲しくてたまらないのは互いに同じはずだ。
もうこいつに任せず自分で突き入れちまおうか、そう衝動的に目の前の腰を掴もうとした矢先だった。戦慄く昂ぶりにそっと手が添えられる。
 
「焦らして悪かったな。ん、…明智が、俺に興奮してこんなに勃たせてるのが嬉しくて……ったくさん感じたかった」
「……ッンなの、ァ…ナカでっ好きなだけ、…感じれば、!いいだろッ…!!」
「はは、言えてる。……じゃ、今度こそ遠慮なく――っんん゛、ぁ、……んァ…!!……」
「は、ぁあ……ッぐ……、ぅ!!」
 
幹を軽く支えながら、暁がそれを後孔にぴたりと押し当てた。先走りを漏らす亀頭にきゅんと吸い付かれた感覚の後、ゆっくりと腰が下ろされていく。本能的な刺激を待ち侘びていた男根は、濡れそぼった蜜壺にようやくずぶずぶと飲み込まれた。
慣れた感触に肉棒を根本まで包みこまれ、そこから全身に甘美な痺れが波及し続ける。脳が熱で浮かされくらくらする体感すら心地よい。自身の雄の脈動と暁の中の蠢動が相乗し、興奮や体温はより高まっていくばかりだ。鼓動まで二人で共有出来てしまいそうだった。
動くのはちょっと待ってくれ、という囁きが荒く不規則な吐息の合間に吹き込まれた。挿入時の負荷を耐えるためかきつく閉じられていた暁の目が再び俺を映し出す。いつも俺を捉えて離さない瞳も、今は確かな色欲を灯していた。
暁はこちらの両肩に手を置いて身体を支えながら、頬や鼻先に何度も優しくキスを落としてくる。余すところなく刺激を享受しようと敏感になっている身体には、そんな微弱な肌触りでもくすぐったいものだ。つい笑い声を漏らせば彼も笑みを零し、ますます触れるだけの口づけを降らせてきた。ちゅ、と健気な音を立てる唇はもちろん、その動作も表情も柔らかい。
 
暁とのセックスが満たしてくれるのは肉体的な性欲と歪んだ征服欲だけではなかった。
幼いうちに母に先立たれ、息子がいることすら知らないであろう男が父とされている俺は誰か一人の中で愛されることが皆無だった。探偵王子として不特定多数の大衆に持て囃されることではその空虚は埋められない。打算から築いた関係ではあったが、暁の中で特別な存在として認知されたことが想定外の充足を与えてくれたのだ。
慕ってくれる仲間が多数いるにも関わらず、暁は俺を選んで友愛や親愛以上のものを示してくれる。それだけでも自分の価値を認められたような気になるというのに、セックスにおいてはより明確に存在を欲され求められる。肉体のみならず心までも熱烈に満たしていくその感覚は何よりも気持ちがいいものだった。
今も身体を繋げたばかりで激しい肉欲に駆られていることに変わりはないが、キスの雨で示される愛情は精神へと降り注がれていく。それは発散を求めて渦巻く熱と欲を、一時的にではあるがわずかに弱めてくれた。そのため比較的落ち着きながら暁からの戯れを受け入れていると、ふと彼が口を開き始めた。
 
「……全部欲しいんだよ、俺。ちょうだい。明智のいいところも……駄目なところも、全部」
「そ、そんなこと……言われたら、興奮する以前に何だか照れるだろ。ありがとう。……でもちょっと待って、駄目なところってなに?」
「一、色々と限度を知らない。二、結構うっかりしてる。三、割と空気読めてない。どれがいい?まあ全部だけどな」
「ええ……な、なんか多いうえに僕的にはあまり身に覚えがない項目もあるんだけど……具体例は?」
「自分の胸に聞け」
「君って奴はさあ…、…ほんとに……」
「それらを踏まえたうえでお前が好きだと言ってるんだ。むしろ褒められてもいいくらいじゃないか?……くれるんだろ、ご褒美」
 
睦言混じりに軽口を叩き合うのも正直まんざらではなかった。
世渡りの過程の弊害で、他人からは基本的に穿った悪意しか感じられなくなっている。しかし暁が相手なら、たまに何か意味ありげな時はあれど言葉に邪気を感じ取れることはなかった。多少強気だったり生意気な言動をしていようとも、根底には常に俺への愛しみがあることを今のような様子で思い知る。これは今日だけではなく付き合っているうちに水滴のように溜まり、渇望へと徐々に浸透しているものだ。
ゴミはゴミらしく俺に搾取されればいいと思っていたはずだった。実際、いずれ命を奪う予定に加えて暁を使いあらゆる欲を満たそうとしている。そんな自分が卑しいということを照らし出されてしまうほどに、暁からの想いは眩しい。純粋で甘く、時に刺激的な好意。乾きささくれていた心へまたそれがじわりと染み渡っていく。胸と目元が少し熱くなったような気がしたのは、下半身から再び存在を主張し始めた恍惚のせいにした。
情熱的な告白と誘いにより精神を潤わされた後は、深々と欲望を受け入れてくれる肉体もそろそろ堪能したくなったのだ。
 
「じゃあ、暁……その……、もう…いいかな?」
 
表面上はきちんと許可を得ようとしているが、腰は小刻みに揺れている。わざわざ尋ねている意味がない。頭ではそれを理解しつつも止められない。とはいえ、先ほどの暁も俺を煽っていたのは明らかなので文句は言われないだろう。苦笑を溶かしたキスが唇を啄んでいったのがそれを立証してくれた。
 
「ん、……まずは俺にさせて。……ぁ、ッああ……、ン…」
 
暁は背中に腕を回して抱き着きながら、肩に頭を乗せてそう囁いた。同時に腰をゆっくりと浮かせて甘えた声を漏らし始める。どうやら自分で動いてくれる気満々のようだ。
さほど変わらない体格の男を膝上に抱えるのは結構体力を使う。そのうえしっかりとしがみついてくるからちょっと苦しいくらいだ。何より暁が自身で腰を振るっている間は、こちらの下半身はやや動かしづらい。しばらくは手で腰を支えてやる程度に止め、彼に主導権を譲ってやることにした。
 
「っふ…!ぁ゛、ほんとは……、…ぼくもめちゃくちゃに動きたくてたまらない、ッん!だけど……わかったよ。…熱い……」
「あ、んッ、お前もたくさん……ア、おれで、きもちよくなッて……」
 
下の口で有言

実行するかのようにきゅうと昂ぶりが締め付けられた。暁が緩やかに上下し始めたことで張り詰めた竿が着実に擦り上げられていく。それを形作るために集結した血液が沸騰してしまいそうなほどの悦楽が背筋を駆け上った。ローション混じりの肉壁はきつさを残しつつもじゅぶじゅぶと滑り、既に男根をしかと呑み込める器官でしかない。
耳元では熱っぽい喘ぎを孕んだ吐息が踊る。鼓膜で増長していくそれは脳髄まで加熱させますます理性を蕩けさせていくばかりだ。時折悪戯っぽく微笑む声と共に耳殻へと舌が伸びてきた。そのまま下方に這わされた唇で柔らかい部位を甘噛みされると、こそばゆい刺激が全身をふるりと戦慄かせた。
欲で膨れた質量の抜き挿しに慣れてきたのか、腰は徐々に大きく跳ねていく。上半身は俺にしがみつきながらも尻はいやらしくつき出していて、すっかり男で悦ぶ身体に成り果てている。
 
「ああ、ぁ、ッふ……、は、ぁン……、あっあッ」
「……はッ……、ん、ぅんっ」
「んァ…あぁッ、ア…、きもちい……ァ、ッあん、ぁっ」
 
ぬぷぬぷと糸を引きそうな水音と淫らな声も増長していくのみだ。ずっぽりと俺を咥えこむ肉壺もいい具合になってきた。いずれここにぶちまけることを考えただけでぞくぞくと邪な痺れが走る。結合部で溶け合ってしまいそうなほど熱烈な快楽が既に全身を侵していた。
そうしているうちに、どうも暁がナカの特定の箇所に亀頭を擦り当てていることにも感づいていた。カリがそこを抉るように通過するたび、ますます腰をくねらせている。ずいぶん気持ちよさそうに啼きやがって。そのイイところを後で突き上げられるよう、こっそり覚えておくことにした。
 
「っく、ァ……君のなか、とろとろだよ……融けちゃいそう」
「んん、ン、……あ…ッあ…」
「は……、あッ、好きだよ、あきら……」
「!!ァあ、はッ……、あぁ゛ッ、んぅ…!…」
 
時々暁の顔が肩から上がるたびに頬へキスを贈りつつ、軽率に愛の言葉を吐いていく。そうすればすぐに穴が締まって俺が気持ちいいから、囁いてやっているだけに過ぎない……別に本意なんかじゃない。言い訳じみたわだかまりがちくりと滲んだ知性も、精を搾り取るかのごとくうねった激情にすぐ流されていった。想定通りの刺激につい愉悦の笑みを浮かべてしまう。熱く濡れそぼった媚肉は雄にぴたりと吸い付いてきた。やはりこいつの身体は抱き甲斐がある。
すると背中に回っていた腕がふいに首まで上がり、暁が真正面から顔を突き合わせてきた。
 
「っふふ、……おれも大好き、あけち」
「あ゛、ァ……っ…!?ッは……」
 
言うが早いか、昂ぶりを急激に締め上げられた感覚が電流のごとく下肢から伝播する。それだけでなくにゅむにゅむと揉みこむような動きで雄を愛玩され、不本意な嬌声を漏らしてしまった。後孔は慣れれば多少は自身の都合で収縮させられるらしいことは、ジョーカーととのセックスでこれまでにも思い知らされている。今のそこも恐らく暁の明確な意図によって動き、俺を包み込んでいるのだろう。
 
「ぁ…、明智の、…ちょっとおっきくなったか?」
「ち、……違、ッう゛!ん゛、ァあ」
「ン、…すきって言われると、気持ちいいだろ。……俺も同じだ。ッだから……もっと、おしえて」
 
無垢な告白には似つかわしくない妖しい微笑が俺をうっとりと見つめていた。暁の蜜壺に愛撫で歓迎されているかのような感触に翻弄され、汗と恍惚がじっとりと湧き出してくる。彼に指摘された通り、陰茎を巡る血液がより増幅したような気もしていた。耐えようと歯を食いしばるも声を抑えきれない様子を見て、暁は少し嬉しそうに笑った。
自分の意志で締めてくる時点で、こいつはまだ余裕を残しているということだ。それがどうにも悔しくて――衝動的に目の前の唇を奪い取った。
鼻がぶつかりそうになりながらも、いつも艶のある膨らみに自分のそれを何度か重ねた。しかし欲に突き動かされる肉体は、下のみならず上までも早急に攻め入ろうとする。先刻彼から贈られたような触れるだけの口づけでは既に満ち足りない状態になっていた。
ただ舌先で軽く暁の唇を撫でてみると、そこはあっさりと欲求に応じるように力を抜いてくれた。彼が拒まないのをいいことに、薄く開いた唇と歯を舌でこじ開けて侵していく。
 
「!……ふァ…、ぁ、ッん……」
 
すぐに口内で巡り合えた彼の舌にそっと触れると、鼻にかかった甘ったるい声が溢れた。軟らかい肉同士の触感で反射的にびくりと震えたそれを逃がさないよう絡めとる。すると肉棒を咥えこんでいる方の口も瞬間、一際きつく引き絞られた。
 
「ん゛ッ……!!…、っ…!ふ…」
「は、…ぅ、…ぁふ…」
 
口内で唾液のごとく湧き始めた性感に意識を集中させることで、その烈しい刺激をやり過ごす。そんな苦労も露知らずさえずりのような吐息をつく暁からは、狙い通り徐々に全身の力が抜けていく。さすがに二ヶ所を同時に犯されてしまえば余裕を保ってはいられないようだ。
後孔は少しずつ弛緩した後、暁の意志に関わらない不随意な収縮へと回帰した。ついでに少し浮いていた腰もぺたりと俺の膝の上に落ちて動かなくなった。
目的を達成したことに溜飲を下げつつも、深々としたキス自体はそのまま継続させていく。心なしか舌も俺にされるがままで、ざらついた部分を擦り合わせるように絡めるとまた声を漏らした。敏感な上顎を舌先でねっとりとなぞってやれば、ぞくりと全身を震わせたのがわかった。
この体勢では暁の頭の方が上部にあるため、口内で溶かし合った二人分の蜜の多くはこちら側に流れ込んでくる。しかし肉欲に満ちた身体にはそれすら刺激となり、媚薬のごとく脳を色に溺れさせていく。密着した肉体から伝わるのは早鐘を打つ確かな鼓動と熱い体温。暁が生きている証。
 
角度を変えつつ好きなだけ舌を蹂躙した後、唾液でより艶めくようになった唇を解放してやった。口づけの間には閉じられていた瞳が伏し目がちに開く。既に欲情を隠せていないその潤んだ輝きを確認し、口元の蜜を拭ってやりながらほくそ笑んだ。
暁は酸素を取り入れようとする呼吸を繰り返すのみだ。ずいぶんと大人しくなった。頬に口づけると内部がひくりと動いたものの、俺の肩に手を乗せて身体を支えようとする以外はもう力が入らないらしい。くったりとした下半身の重みを膝で感じる。
……これならそろそろ俺の好きに扱えるだろう。
 
「!うあ゛、…やっ!!……あ、ッぁん!」
「暁はもう、ッうごけない、ぁ、みたいだから……ッン、…、いい、っよね?」
 実行するかのようにきゅうと昂ぶりが締め付けられた。暁が緩やかに上下し始めたことで張り詰めた竿が着実に擦り上げられていく。それを形作るために集結した血液が沸騰してしまいそうなほどの悦楽が背筋を駆け上った。ローション混じりの肉壁はきつさを残しつつもじゅぶじゅぶと滑り、既に男根をしかと呑み込める器官でしかない。
耳元では熱っぽい喘ぎを孕んだ吐息が踊る。鼓膜で増長していくそれは脳髄まで加熱させますます理性を蕩けさせていくばかりだ。時折悪戯っぽく微笑む声と共に耳殻へと舌が伸びてきた。そのまま下方に這わされた唇で柔らかい部位を甘噛みされると、こそばゆい刺激が全身をふるりと戦慄かせた。
欲で膨れた質量の抜き挿しに慣れてきたのか、腰は徐々に大きく跳ねていく。上半身は俺にしがみつきながらも尻はいやらしくつき出していて、すっかり男で悦ぶ身体に成り果てている。
 
「ああ、ぁ、ッふ……、は、ぁン……、あっあッ」
「……はッ……、ん、ぅんっ」
「んァ…あぁッ、ア…、きもちい……ァ、ッあん、ぁっ」
 
ぬぷぬぷと糸を引きそうな水音と淫らな声も増長していくのみだ。ずっぽりと俺を咥えこむ肉壺もいい具合になってきた。いずれここにぶちまけることを考えただけでぞくぞくと邪な痺れが走る。結合部で溶け合ってしまいそうなほど熱烈な快楽が既に全身を侵していた。
そうしているうちに、どうも暁がナカの特定の箇所に亀頭を擦り当てていることにも感づいていた。カリがそこを抉るように通過するたび、ますます腰をくねらせている。ずいぶん気持ちよさそうに啼きやがって。そのイイところを後で突き上げられるよう、こっそり覚えておくことにした。
 
「っく、ァ……君のなか、とろとろだよ……融けちゃいそう」
「んん、ン、……あ…ッあ…」
「は……、あッ、好きだよ、あきら……」
「!!ァあ、はッ……、あぁ゛ッ、んぅ…!…」
 
時々暁の顔が肩から上がるたびに頬へキスを贈りつつ、軽率に愛の言葉を吐いていく。そうすればすぐに穴が締まって俺が気持ちいいから、囁いてやっているだけに過ぎない……別に本意なんかじゃない。言い訳じみたわだかまりがちくりと滲んだ知性も、精を搾り取るかのごとくうねった激情にすぐ流されていった。想定通りの刺激につい愉悦の笑みを浮かべてしまう。熱く濡れそぼった媚肉は雄にぴたりと吸い付いてきた。やはりこいつの身体は抱き甲斐がある。
すると背中に回っていた腕がふいに首まで上がり、暁が真正面から顔を突き合わせてきた。
 
「っふふ、……おれも大好き、あけち」
「あ゛、ァ……っ…!?ッは……」
 
言うが早いか、昂ぶりを急激に締め上げられた感覚が電流のごとく下肢から伝播する。それだけでなくにゅむにゅむと揉みこむような動きで雄を愛玩され、不本意な嬌声を漏らしてしまった。後孔は慣れれば多少は自身の都合で収縮させられるらしいことは、ジョーカーととのセックスでこれまでにも思い知らされている。今のそこも恐らく暁の明確な意図によって動き、俺を包み込んでいるのだろう。
 
「ぁ…、明智の、…ちょっとおっきくなったか?」
「ち、……違、ッう゛!ん゛、ァあ」
「ン、…すきって言われると、気持ちいいだろ。……俺も同じだ。ッだから……もっと、おしえて」
 
無垢な告白には似つかわしくない妖しい微笑が俺をうっとりと見つめていた。暁の蜜壺に愛撫で歓迎されているかのような感触に翻弄され、汗と恍惚がじっとりと湧き出してくる。彼に指摘された通り、陰茎を巡る血液がより増幅したような気もしていた。耐えようと歯を食いしばるも声を抑えきれない様子を見て、暁は少し嬉しそうに笑った。
自分の意志で締めてくる時点で、こいつはまだ余裕を残しているということだ。それがどうにも悔しくて――衝動的に目の前の唇を奪い取った。
鼻がぶつかりそうになりながらも、いつも艶のある膨らみに自分のそれを何度か重ねた。しかし欲に突き動かされる肉体は、下のみならず上までも早急に攻め入ろうとする。先刻彼から贈られたような触れるだけの口づけでは既に満ち足りない状態になっていた。
ただ舌先で軽く暁の唇を撫でてみると、そこはあっさりと欲求に応じるように力を抜いてくれた。彼が拒まないのをいいことに、薄く開いた唇と歯を舌でこじ開けて侵していく。
 
「!……ふァ…、ぁ、ッん……」
 
すぐに口内で巡り合えた彼の舌にそっと触れると、鼻にかかった甘ったるい声が溢れた。軟らかい肉同士の触感で反射的にびくりと震えたそれを逃がさないよう絡めとる。すると肉棒を咥えこんでいる方の口も瞬間、一際きつく引き絞られた。
 
「ん゛ッ……!!…、っ…!ふ…」
「は、…ぅ、…ぁふ…」
 
口内で唾液のごとく湧き始めた性感に意識を集中させることで、その烈しい刺激をやり過ごす。そんな苦労も露知らずさえずりのような吐息をつく暁からは、狙い通り徐々に全身の力が抜けていく。さすがに二ヶ所を同時に犯されてしまえば余裕を保ってはいられないようだ。
後孔は少しずつ弛緩した後、暁の意志に関わらない不随意な収縮へと回帰した。ついでに少し浮いていた腰もぺたりと俺の膝の上に落ちて動かなくなった。
目的を達成したことに溜飲を下げつつも、深々としたキス自体はそのまま継続させていく。心なしか舌も俺にされるがままで、ざらついた部分を擦り合わせるように絡めるとまた声を漏らした。敏感な上顎を舌先でねっとりとなぞってやれば、ぞくりと全身を震わせたのがわかった。
この体勢では暁の頭の方が上部にあるため、口内で溶かし合った二人分の蜜の多くはこちら側に流れ込んでくる。しかし肉欲に満ちた身体にはそれすら刺激となり、媚薬のごとく脳を色に溺れさせていく。密着した肉体から伝わるのは早鐘を打つ確かな鼓動と熱い体温。暁が生きている証。
 
角度を変えつつ好きなだけ舌を蹂躙した後、唾液でより艶めくようになった唇を解放してやった。口づけの間には閉じられていた瞳が伏し目がちに開く。既に欲情を隠せていないその潤んだ輝きを確認し、口元の蜜を拭ってやりながらほくそ笑んだ。
暁は酸素を取り入れようとする呼吸を繰り返すのみだ。ずいぶんと大人しくなった。頬に口づけると内部がひくりと動いたものの、俺の肩に手を乗せて身体を支えようとする以外はもう力が入らないらしい。くったりとした下半身の重みを膝で感じる。
……これならそろそろ俺の好きに扱えるだろう。
 
「!うあ゛、…やっ!!……あ、ッぁん!」
「暁はもう、ッうごけない、ぁ、みたいだから……ッン、…、いい、っよね?」
 
休んでいた腰を駆使し軽く突き上げただけで、暁はわかりやすく啼いた。普段なら絶対に聞けない上ずった声は心地よく、同時に嗜虐欲を煽られる。ほどよい弾力の尻を両手でしっかりと鷲づかみ、まずは根本付近で軽く上下させるだけの緩い抽挿で迎えた。ちゅぷちゅぷと小さな水音が響き出す。揉みしだく合間に双丘の肉を開いたり寄せたりすれば、中の締まり具合が変わって気持ちがいい。それは暁も同じようで、背をふるりと反らして尻をつき出す一方だ。
 
「ンっ、あ、ぁあ…、…ぅんッ、ん」
 
力が抜けた身体は少々重いが抗おうとはしないため、腰を持ってやれば無遠慮に使えるのが都合よい。
突き上げに慣れて奥まで濡れたと思わしき頃、掴んだ尻を少し高めに浮かせたまま固定させることにした。内壁を擦りながらずるりと雄が引き抜かれる感覚に暁は全身を震わせる。亀頭だけが包まれるように調整していると彼はなんとも物足りなさそうな顔色をしていた。無意識に体重をかけてもっとナカに沈めさせようとする素振りを許さず、特定の高さでがっちりと押さえつける。
そうしてつるりと膨らんだ先端だけを抜き挿しさせ始めた。ぞわりと戦慄いた下肢を固定させたまま、自分だけが腰を上下させる。小刻みではあるが執拗にぬぽぬぽと行き来させると暁が短い悲鳴のような嬌声をあげた。窄まりを制御するきつい肉の輪でにゅるにゅると亀頭を扱かせるのは格別な気分だ。
 
「あ、…ぁけ、ッ太…、…ァ、!いいッ」
 
カリの段差が穴に引っかかるたびに鮮烈な快感がこみ上げる。暁の方も俺の一番太い部位が何度も入り口の粘膜を擦り上げるのはたまらないようで、喉を晒して悶えていた。あ、あ、と漏れる高いよがり声が鼓膜をも愛撫する。
しかし先ほど奥まで男を飲み込んでいた穴は、これだけでは満たされないことを知っている。俺に固定させられている尻がもっと欲しいと言わんばかりに揺れていた。しばらく刺激を与えられていない内部の中程も物欲しげに蠕動していることだろう。抽挿のたびに振れる暁の雄は、自身の先走りでいやらしく光りますます蜜を垂れさせた。濡れて充血した彼の瞳も情欲で染め上げられている。
もう少し焦らして遊んでやりたいところではあったが、こちらも長らく空気に触れている陰茎が不満げに血管を浮かせている。そろそろ潮時だ。
暁を捕らえていた手からふいに力を抜いた。そうすれば揺らめく腰がすぐに自重でぐぷぐぷと沈み出す。焦らされ続けざわついていた奥の肉壁を、ますます張り詰めた男根が一気に擦り上げていく。
 
「ア、ぁ゛あ!?ッあーー…!!、ッ…ひっ、あァああ゛ッ!!」
 
予告なく解放してやったことで突如強烈な刺激を享受した暁は、声も全身も一際大きく震わせた。とっさに俺にしがみつき衝撃を耐えようとした身体はがくがくと痙攣し、ナカも悦びでうねりだす。喉から絞り出されるような喘ぎと共に、浅く詰まりそうな呼吸が耳元で不規則に繰り返された。射精はしていないようだが、もしかしたら軽くイッたのかもしれない。
しかし甚だしい快楽を急激に全身に浴びせられたのは俺も同じだ。男を待ち侘びていた蕾は二度と離さないと言わんばかりに淫らな感触で締め上げてくる。熱くぬるつく肉壁に再び絡みつかれたペニスは歓喜に沸いた。暁には構わず本能に従った突き上げで暴れ出す。もう止めることなど出来ない。理性など焼き尽くされた。
 
「ァあ゛あ、っアけ、…ひッ、…!ん゛ッ、やァ、あ゛、あ!」
 
激しく蠢動する媚肉を勢いよく掻き分けて奥まで受け入れさせる。ぬちゅぬちゅと漏れてくる卑猥な水音すら脳をかき乱していく。気持ちがいい。その一心で腰を振るった。
暁といえば震えるばかりで力は入らないくせに、腰だけは雄へと差し出すようにくねる一方だ。突き上げに翻弄されて跳ね上がり、自身の昂ぶりからもだらしなく溢れた蜜を飛び散らせていた。やはりさっきイキかけていたのか、潤んだ瞳が少し惚けているようにも見える。
少し前までの強気な態度など見る影もない。俺専用に成り果てた肉体を淫楽に溺れさせるだけだ。こうなってしまえば、もう生意気で時に意味深なお喋りなど出来やしない。させない。
 
「や、ッあ゛、ぁ…っそれぇ、イイッ…!…ゃ、ア、やだ」
「ッは、…ん゛ッ…、!ココだろっ、イイの」
「だめ、ッぁん…!、あァ、あ、ン、もっと…、…!!」
 
矛盾だらけの懇願もご愛嬌だ。色に耽った頭がまともに働くわけがない。とは言えそれはこちらも同じで、こういう時は全て「イイ」と解釈させてもらうことにしている。実際悦さそうな声で啼き喚くから問題ないだろう。
前に暁が自分で擦り付けていた部分をカリ首で容赦なく抉ってやると雌みたいによがり果てた。今も俺に揉みしだかれている尻を淫靡に揺らし、よりイイところに当たるよう加担している。卑猥な啼き声に煽られそこを刺激してやれば、蜜壺が媚びるように雄をしゃぶりつくす。腰が砕けそうなほど気持ちがいいその熱烈な愛撫を求めてひたすら一点を突き上げる。
繋がっている部分の快楽がそうやって相乗を続け、やがて暁がいっそう強く俺にしがみついた。背中に爪が食い込む微弱な痛みは射精間近の激情に飲み込まれていく。こちらも暁の腰と後頭部に手を回して固く抱き込み、限界まで昂った欲望を一段ときつくなった内部に叩きこんでいく。やがて俺の肩口に埋めた首を振りながら暁が肉感的に身悶えた。
 
「んあァ、ぁ゛、ふ、あン、…あッあっ!や、ッぁあ゛…!!…イクッ、いッ――……!」
「……ん゛ッ…、っくァ…!!っあ゛…!…」
 
肉棒をひとしきり包み込んだそこが絶頂を迎え一気に収縮した。溜まりに溜まった欲望もそれを引き金にして迸り、暁の体内へとぶちまけられていく。解放の瞬間に駆け巡る淫猥な痺れは電流のごとく全身を打ち震わせる。きつく抱き着いたまま同じく達した暁の痙攣も重なり、より大きな衝撃のように感じられた。この卑俗な欲を暁の中に全て受け入れさせる行為は何度経験しても極上の瞬間だ。
脳まで麻痺させるその絶対的な快楽の余韻を享受している間にも、暁だけは身体をびくつかせているままだ。前後両方で絶頂するというのは、俺が知っている以上の悦びだろうから無理はない。体温が上がっている腹に生暖かい感覚があることから、今回は前でも達したようだ。
膝の上の彼をしっかりと抱いたまま、おもむろに身体を倒していく。暁の背中が固いベッドに触れたが腕からは解放してやらない。
まて、と彼の唇が動いたのを確認出来たが、声にはならなかったそれは見て見ぬふりをした。
暁はもちろん気づいているだろう。
自身を貫く男の欲が全く収まっていないことに。
 
「あ゛、ッァああ゛!!っひ、あ゛、あァッ、っ!」

後頭部と腰を抱いてベッドとの間に押さえ込み、逃げられない暁を再び蹂躙し始める。未だ硬度が保たれている熱塊を抜きもせず引き続き奥まで沈めさせていく。色情で融かされていた暁の瞳が見開かれ、喉と身体は悲鳴を上げた。
達したばかりの肉体は行き過ぎた刺激に一度は抗おうとする。内壁がぎちぎちとペニスを締め出すように動いた。その抵抗に逆らって強引に肉を掻き分け、容赦なく横暴な雄を突き入れる。歯向かう狭窄なナカでピストンを繰り返し割り開かせていく。
ナカで掻き回されまとわりつく精液はじゅぽじゅぽと一際下品な音を主張している。抜き挿しに応じて泡立った分が溢れ、俺自身と暁の穴にも白濁が糸を引いていた。その様子にぞわりと下劣な欲が刺激され、今の分に加えもう一発出せそうなほど幹が昂った。
絶頂の余韻に浸ることも許されず犯され続ける身体は背を反らしっぱなしだ。否応なく叩きこまれる肉棒にびくびくと見悶える暁を腕のみならず全身で制圧させた。傍から見たらもはや陵辱と変わらないかもしれない。
しかし暴力的なほどに浴びせられる快感に対し、そこは徐々に反発を弱めていく。順応か恭順かは定かではないが、理不尽に侵犯する俺を咥えこんで再度擦り寄る姿勢を見せるのだ。苦しそうに喘ぐ暁の意志には関係なく、肉壺が服従するかのようににゅむにゅむと雄に絡みだす。時折結合部の隙間から先刻の残滓がごぷりと零れていった。
 
「あ、あ゛ァ、!ッぐ…、……ァ、あ゛、ッは」 
 
のたうつ身体からも、こうなれば少しずつ力が入らなくなってくる。その頃合いを見て拘束していた腕の中から解放し、かわりに膝裏へと手をかけた。従順になった後孔に免じて多少は抽挿の勢いも緩めてやったが、本能に突き動かされる腰自体は止まらない。自身の存在まで受け入れられたかのごとき充足を与えてくれる肉体を堪能するばかりだ。
欲しがる穴が悦ぶところを的確に突いてやれば、暴挙に耐えるような声色もだんだん悩ましいものへと移り変わっていく。烈しい性感に戸惑いつつも陥落した身体はやがてそれを自ら享受し始めた。背と喉を反らしながら腰を淫らにくねらせるその姿はひどく淫猥だ。
 
「…あ…!…っふ、ぅ…、…ぁ゛、ッああ、んっ、」
 
眼鏡にも仮面にも邪魔されない暁の顔が月下に晒されていた。
ジョーカーを抱くのも格別だが、うっとりと恍惚に浸る素顔もたまらなくそそられるものだ。頬を熱く火照らせ、汗ばんだ額に前髪が貼りついているのもよく見える。浅い呼吸を整えられずに開きっぱなしの口からはだらしなく唾液が零れていた。鋭さを失った瞳はすっかり愛欲に溺れ、とろんと惚けて俺を映すのみだった。
こんなお前をお仲間共が見たら泣くんじゃねえのか。
こいつの生、そして性すら俺のものだ。
 
「あ…ッ、ん、…、…暁……、あいしてるよ」
「ぁ、…ッ!!」
 
俺に心身を預けるその無防備な姿に、ふと愛しさじみた気まぐれが生じた。情けなく蕩けた顔にキスを落としながら、耳元でそう囁いてやった。
すると瞬く間に肉壁が歓喜に震え、にちゅにちゅと雄を歓迎するように扱き出す。孕むわけでもないのに精を搾り取る動きを会得した穴にもてなされるのは至極の悦びだ。素直に反応を示す肉体から差し出された快楽に脳まで痺れながらほくそ笑んだ。
くらくらしそうな視界で暁の表情を捉えると、きつく瞳を閉じて殊更身体を反らし始めていた。爪を立てるようにシーツを強く握り、ふるふると頭を震わせている。甘く鮮烈に押し寄せる感覚を耐えるかのようなその様子で状態を察し、ぞくりと瞳孔が開いた。
 
「……ッは、…!…いい、よ、イケよッ」
「あッあ゛、!ッひァああ、やっ、…いっちゃァ、!!あ゛っ、あーッ」
 
敏感な内壁を射抜くかの如く突き上げてやれば、暁はあっけなく淫楽を弾けさせた。
しかし先ほどこのナカで吐精したばかりのペニスは貪欲で、まだ二回目の解放を待ち詫びているのだ。がくがくと跳ねる彼の身体を抑え込みながら、イっている最中も構わず奥まで抜き挿しを横行させた。幾度目の絶頂を迎えた身体はもはや拒む気力も残っておらず、強く収縮はしながらも引き続きぐぷぐぷと雄を咥えこんだ。快感を重ねたことで熟れてねっとりと絡みつく肉壺の具合がたまらない。瞳を閉じ、鋭敏な触覚だけを研ぎ澄ませて暁の肉体を謳歌した。
 
「あー……、あッ、……っは…、んっ、ン……きもちいい、よ、あきらぁ…」
 
このまま融かされてしまいそうだ。にゅくにゅくとした柔らかい感触に腰まで力が抜け、無遠慮な抽挿がじわじわと緩んでいった。そうして俺がゆっくりと悦に浸っているうちに、少しずつ暁の痙攣も弱まっていく。
しばらく暗闇の中で恍惚に身を委ねていた。しかしそろそろまた素顔を拝みながら抱こうかと、ふいに目を開けた時だった。いつのまにかその顔が眼前に迫っていた。
それを認識した瞬間に、暁が唇を優しく啄んでいく。
 
「あ、ァ、すき、……好き、あけち、」
 
頬に両手を添えられ、額や鼻先、瞼などにキスが降り注ぐ。
強勢な快楽とは違った突然のささやかな刺激にくすぐったさを覚えたところで、もう一度唇を重ねられる。何度も軽く押し当てられる弾力が心地よかった。
やがて少し長めに唇を触れ合わされた後、名残惜しげに離れていく。
溶けて潤んだ瞳がそっと輝き、まばたきをした。
 
「おれもあいしてる」
 
目線をまっすぐに絡めて、そう暁は囁いた。
……殺されるとも知らずにそんな言葉をほざくなんて、滑稽だ。
そう馬鹿にすることで、恍惚ではないものが胸をじわりと満たしていくことに気づかないふりをした