ルシウス・モデストゥス 路西斯·慕德斯特

アテネで最新の建築技術を習得しており、浴場を専門とするローマの建築技師。質実剛健・謹厳実直な、根っからの仕事人間。
様々な浴室の建築に頭を悩ませる度に、風呂場もしくは水に関する場所（生簀・海等）から現代日本の多種多様な風呂や浴場へとタイムスリップしてしまう特異体質（?）。本人は現代日本をローマと時代を同じくする未知の国家と捉えており、時間を超えているという認識はない。
ローマ市民としての気位が高く、タイムスリップした先で出会う日本人を「平たい顔族」と呼び、「奴隷」や「ローマよりも軍事力で劣る未開の国家」と誤解しながらも[注 5]、好奇心や学習意欲が非常に旺盛なため、優れた点は謙虚に認め、貪欲に学び受け入れる。現代日本の風呂の機構や様々な物品を、言葉の通じない中でも的確に分析し、巧妙に再現するなど、分析能力及び技師としての能力は一流（一方で、皇帝の許に出入りするようになってからは緊張性の腹痛にしばしば悩まされている）。また、生真面目で義侠心に厚く、自分の設計した浴場が老舗浴場の経営を圧迫していると組合に糾弾された際は罪悪感の余り涙を流し、目下と見做している「平たい顔族」に対しても礼儀と気遣いを忘れない。
最初のタイムスリップを経験して以来、現代日本の浴場の優れたシステムを貪欲に取り入れて反映することで、（当時のローマでは）革新的な浴場や風呂を次々と生み出し、次第に名建築家としての地位を確立していく。タイムスリップ時点で、己が身につけていた衣服（大抵は入浴中なので全裸が多いが）等の物品を持ち込むことができ、帰還時には実際に手にした物品をローマへと持ち帰っている。それらは温泉土産であるカエルの置物や射的ゲームの景品だった変な縫いぐるみといった雑貨であったり、バナナやラーメン、餃子など風呂と直接関係のない食品もあるが、知識として持ち帰った文化と合わせて新しい町や施設を作ったり、飲食した物をそこで再現して提供しようとするなど、浴槽・浴場作りに貢献している。[注 6]しかし本人は生来の生真面目さから、ローマ繁栄の為と考えつつも、「平たい顔族」の模倣者にすぎない自分の得る名声や栄誉に後ろめたさを感じており、そんな事情を知らないローマの人々からは謙虚な男とみなされている。さらに、仕事と妻リウィアの板挟みにあって懊悩するなど、苦悩が絶えない。
従軍した経験もあり、本人の回想によれば、従軍先でも技師の腕を生かして兵士たちのために浴場を建設している。戦士としての腕も確かで、現代日本にタイムスリップした際に、ロシア人のフェンシングの強豪選手と互角の戦いをしたり、的当てで矢を全て真ん中に命中させたりしている[注 7]。
その仕事ぶりが評価され、ついにはハドリアヌス帝の信頼を得て皇帝付きの技師となったが、男色家として有名な皇帝の愛人と誤解され、妻にも逃げられる（後述）等の苦悩を重ねる。更には皇位継承問題に巻き込まれ、密かに命を狙われるようになった（結局は未遂に終わる。しかも当人にその自覚はない）。ケイオニウス亡き後、ハドリアヌスと善後策を話し合うため入浴した際、タイムスリップして帰還できなくなり（今までは解決案が出来てから帰還している）、そのまま平たい顔族の温泉地に従業員として滞在している。そこでふと目にした薄型テレビや携帯電話に驚愕し、ついに電気の存在を知るに至った[注 8]。
容姿について、最初の温泉街に現れた際2人組の女性客の片方から「イケてる外人」「ジュード・ロウ入ってね?!」と評されていた。