2024-2-12 01:07 /
絵柄はメルヒェンタッチでかわいらしいが、三頭身の女の子がやや古く感じた。作者の魅力であるディープにして壮大な世界観は健在。
広大な惑星にひとりぽっち、自分が誰かもわからない主人公コロルが、空から伸びた糸を延々のぼっていく話なのだが、のちに死生観をも含んで寓話とも神話ともいえる展開を見せる。そしてこのコロルも人間ではないことが複数の事実により示唆される。
「メイドインアビス」の読者なら波長が合いそうな作品で、仮想の希望が打ち砕かれたあとには過酷な現実を容赦なく突き付けられ、絶望のどん底に落とされる。主人公が孤独を再認識するガチ鬱展開。
だが鬱なだけでは終わらず、そんな状況でも生きる知恵を絞り、タフに生活していくコロルの姿は奇妙に前向きで明るい。
良質のサバイバル漫画でもあり、生物が生きるのも困難な環境で、水を確保し日々の食糧を獲得するコロルの逞しさは凄い。
最初に言ったように無料で読めるが、「メイドインアビス」の原点を求めるコアなファンなら、購入しても期待を裏切られることはない。
一点気になるのは、作中の謎に明確な回答が提示されないこと。
いわゆる投げっぱなしエンドで、コロルの正体や交信していた相手のことは最後まで明かされない。
意味深な伏線が全部キレイに回収されスッキリ解決大団円、みんな幸せになりましためでたしめでたし……なエンドではない。
これを余韻のある終わり方ととるか、中途半端ととるかで賛否が分かれる。
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