ブリュンヒルド » 日志
一瞬の幻のような、儚げな美しさ

人生という道で誰もが通る、恋という名の中継地点。
それは甘酸っぱい、またはほろ苦い経験として人の心を成長させる。
そして、未来への道筋がその先に続いてゆく。
そのまま進むはずだった。他の皆と同じように。

だが……
その場所で俺達は、見つけてしまったのだ。
恋という仮面の奥に潜む、人間の根源的な欲望を。
それは目には映らない細い道、どこに続くのかも知れぬ別ル一卜。
一人ならそんな道は選ばなかっただろう。
でも、俺達はそこへ足を踏み入れた。それは何故か？

……言うまでも無い。
俺達は……二人でひとつだったからだ。
あれは無言の約束だったはずだ。二人一緒に、この先へ進もうという約束。
だが恐れをなした俺は、その途中で早智子の手を離してしまった。
早智子を一人残して、元の道に戻ろうとした。
その結果、二人共……深い森の中で迷子になってしまったのだ。

【夜空に浮かぶ星はその遠さゆえに、美しい輝きで人を魅了する。】

可遠觀而不可褻玩，可遠觀而不可褻玩，可遠觀而不可褻玩⋯⋯